子どもを通じて知り合うママ友は、気が合う人たちとのお付き合いなら楽しいけれど、そうもいかないのがグループになったときです。
ママ友たちの間で「順位」をつけたがる人は実際にいて、まるでカースト制のように上下のある関係は窮屈なもの。
狭い世界でボスを気取っていても、外の世界では通用しないことも多々あります。
他人を自分の駒のように扱う「ママ友ボス」はどんなミスをしたのか、ご紹介します。
「私の夫は弁護士だから」が口グセのママ友
正美さん(仮名/36歳)は、娘さんが通う幼稚園であるママ友グループの存在を知りました。
仲良くなったママ友のひとりである美沙さん(仮名/37歳)がそのグループに入っており、「グループLINEは既読と返信が必須、園の行事はみんなで協力して仕切る」というルールがあり、美沙さんは誘われて入ったものの常にLINEを気にして園でも誰か姿を見かければ必ず挨拶しなければいけないことに疲れていたそうです。
「そのグループのなかでも特に強い意見を言うボスのようなママ友がいて、下手に口答えすればほかのメンバーからも攻撃されるのが怖いと美沙さんは話していました。ママ友ボスに嫌われてグループを追放された人もいて、その後はみんなから無視されているらしく、自分は絶対に近づかないでおこうと思いましたね」
そう話す正美さんは、このママ友ボスの女性について、「参観日などでスーツをビシッと着た旦那さんと一緒にいるのを見かけるのですが、『私の夫は弁護士だから』と普段から話しているのは見ていました。それをグループのなかでも持ち出して、旦那さんの職業で勝手に順位をつけるような感じらしく、何ていうか昔のカースト制度のようだなとゾッとしましたね…」と、普段から挨拶だけで会話も避けるようにしていたと言います。
正美さんの友人の美沙さんはそのグループのなかでもいわゆる「下位」で、「夫の職業が普通の正社員だから」という理由でママ友ボスに馬鹿にされている、と聞いていました。
「グループを抜けたいけど、そんなこと言い出したら理由を絶対に聞かれるし私の生活の状況とかも探ってくると思うし、娘にもどんな影響があるかわからないから怖くて」とため息をつく美沙さんを慰めながら、正美さんは「ママ友カースト」の恐ろしさを感じていました。
あるイベントからの変化
美沙さんがこのグループから攻撃を受けるようになったのは、園で行われた行事が発端でした。
正美さんは、「園で子どもたちによる音楽会が開かれたのですが、コロナ禍が落ち着いて数年ぶりに参加できるのがひと家族2名までとなり、『人が増えるし、場所取りが大変そうだね』と、美沙さんと話していました。
正美さんが入っているママ友グループのグループLINEでもその話が出て、ボスの女性が「美沙さんが早めに行ってみんなの場所を取ってくれたら」と発言したそうです。
名指しされた美沙さんはさすがにカチンときて、「ひと家族が複数の席を押さえるのは問題だと思うし、私はその日仕事でギリギリまで園には行けないから」ときっぱり断ったら、「え、みんなのためなのに?」ってボスの怒りを買ったらしく、そこから嫌味が始まり…。
客観的に見れば美沙さんの考えは正しく、「要は自分が楽をしたいから下位のママ友に場所取りをさせたいだけ」とも感じます。
「『みんなのためにと思うなら自分が行けばいいのでは?』と友人が返したら返信はなくて、気まずい空気でグループLINEの会話は終わったのですが、次の日にカースト2位でボスと一番仲のいい別のママ友から『言い過ぎじゃない?』と声をかけられてびっくりしたそうです」
何が「言い過ぎ」なのか、そのときはもうグループから出る気でいた美沙さんは「私には私の事情があるから」と返します。
「こうなることは予想ができた」と話す友人は、グループ内のほかのメンバーからも園で無視されるようになりますが、ママ友ボスに謝罪する気持ちなどいっさいなかったそう。
「お子さん同士が仲のいい人もいて、娘さんがいじめられたりしないかと心配していましたが、さすがにそこまでは影響がなくて美沙さんも私もほっとしました。子どもたちの間にまでこんなカーストを持ち込んだら、さすがに先生に相談するべきとそのときは話していましたね」
問題なのは、園に娘を迎えに行ったときなどママ友ボスに会ったら、「失礼な人だから近づきたくない」とわざわざ聞こえるように言ったり、美沙さんの家庭の情報などをほかの保護者の人に漏らされたりと、いわゆるいじめが始まったこと。
それらはママ友ボスが言っているのではなく、「カースト上位の取り巻き連中が動いていた」と、美沙さんは報告してくれた保護者の人たちによって掴んでいました。