「老害」というと、偉そうな高齢者をイメージする人も多いでしょう。
最近では、30代~40代の偉そうな上司・先輩などを「ソフト老害」と名づける人が増えています。
しかし、「偉そう」という理由以外でもソフト老害認定される人は少なくありません。
今回は、そんなソフト老害について20代と30代の男女4人に話を伺いました。
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30代以上の人は「ソフト老害」?
ーーまずは自己紹介からお願いします。
美咲さん:はい。都内の食品関連会社へ事務職で入社して2年目になります。よろしくお願いします。
裕太さん:私は都内のIT企業に入社して3年目になります、よろしくお願いします。
啓介さん:私は金融関連の会社に入社し、今年で10年目の33歳です。現在後輩たちの育成で頭を悩ませているところなので、いい話が聞ければと思っています。
真由さん:商品開発の仕事をしています。現在35歳、子どもが1人いて、夫と2人で協力しながら育児をしています。「お局」と言われていないか、自分のやり方に自信がなくなってきているので、きょうは何卒よろしくお願いします!
ーーありがとうございます。そもそもみなさん、「ソフト老害」が具体的にどんなものなのかご存じですか?
美咲さん:私たちより年を取っていて、考え方が古い人。
裕太さん:老人だけじゃなく、30代以上の人はよく当てはまるんじゃないかなって思います。もちろんそうじゃない人もいると思いますけど、僕的には凝り固まった考え方しかできなくて、頑固で、プライドが高い人、ですね。
啓介さん:ソフト老害って、30代以上も言われるんですか?老人だけかと…。
美咲さん:たしかに『老害』と言っているので老人だと思われがちですが、私たちより年上なので…。
真由さん:辛らつだなぁ…。でもソフト老害が30代以上のことを指しているのはなんとなく知っていました。私たちが20代のころはそんな言葉なんてなかったので、どういうこと?って感じですけど…あっ、こうやって昔話するのもよくないんですよね。
ーー「昔話」ですか?
真由さん:はい。昔の話を話してくる30代が、ソフト老害って言われちゃうって何かで見たんです。
美咲さん:昔の自慢話をされたらうざいって思うけど、いまの真由さんの話はそんなに…。
裕太さん:いまの真由さんは全然なんとも思わなかったんですけど、「昔はよかった、いまは…」みたいな、比べられてる感じがするものは僕は嫌です。人として否定されているように感じる。
啓介さん:えっ昔話をするとそんな意図に捉えられちゃうんですか?ネガティブすぎますって…。
裕太さん:違うんですか?
啓介さん:違いますよ!話題を盛り上げたくて話をしてるとか、思い出したから話してみようとか、何にも考えてないとか、そんな思いしかないです。
ーーほかにも、具体的なソフト老害のイメージってありますか?
美咲さん:頑固!絶対にルールを変えようとしない。
裕太さん:古い慣習に縛られすぎで、効率のいいやり方を提案しても絶対に受け入れない。
啓介さん:うわぁ…心当たりがあります。
ーー最近そんなことがありましたか?
啓介さん:はい。後輩が「こっちのほうがやりやすいですよ」って提案してくれたんですが、新しいものを覚える手間などを考えるといまのままのほうがいいなって思って、断っちゃったんです。
美咲さん:あ~そういうのですよ、ソフト老害って…。
裕太さん:しかもなんか、こっちが正しいから黙って従って!みたいな言い方してませんか?
啓介さん:そうですね…「みんなきっと、いまのままがいいって言うと思うんだ。俺はこっちでもいいんだけどね』って言いました…。
美咲さん:すごいソフト老害発言です、それ。
裕太さん:みんなそう思ってるから、って相手の言葉を拒否するの、古くないですか?個々を尊重し、立場に関係なく最もよい方法を模索していくほうが大事だと思うんです。
真由さん:それは私もそう思います。でも、断るのに正当な理由がある場合もあるので、一概にソフト老害と決めつけないでほしいかな。
ーー正当な理由とは、たとえばどんな理由でしょうか?
真由さん:セキュリティなどの観点から採用できない、という理由が主に大きいです。効率がいいのはわかりますし、私たちだってできればその方法がいいとは思いますが、その方法にすることができない理由があると考えてほしいですね。
美咲さん:たしかに…理由があってやっていない、だから断るというケースってゼロじゃないですよね。でも、だったらそう言ってくれたらいいじゃないですか、不要だって。
真由さん:ストレートに言っても受け止められるような後輩なら言いますが、言い方ひとつで「パワハラだ」と言われてしまうので、どうしても啓介さんがおっしゃったような曖昧な言い方にはなってしまうんですよね。
裕太さん:先輩に注意されたら、すぐ『僕のこと嫌いなんだろうな』とは思っちゃいますね。でも…そっか、そうやってネガティブに捉えすぎちゃうから、先輩も本当のことを言いづらくなるんだ。それって成長を阻害していますよね…。
美咲さん:せっかく先輩が向き合おうとしてくれているのに、ソフト老害だって突っぱねて耳を傾けてないのは私たちのほうでもあるかも。
啓介さん:だけど美咲さんと裕太さんの言うこともよくわかるな。先輩に怒られるのって怖いよね。ましてやいっつも『自分が正しい!』を押し付けてくるような先輩だったら、俺でも嫌悪するなぁ。
プロジェクト終わりに後輩を飲みに誘うのは「ソフト老害」?
ーー「ソフト老害」を気にしすぎるあまり、そうではない先輩や上司の言葉もマイナスに捉えてしまう可能性は十分にありますね。先輩や上司側が頭を柔らかくするのがまず大事ですが、後輩たちも、言葉の裏を読みすぎないようにしたり、ネガティブに捉えすぎないようにしたりするのも大事でしょう。ほかにソフト老害と聞くと、何かありますか?たとえば、業務時間中の態度とか…。
美咲さん:私たちには仕事しろって言う癖に、隠れてスマホいじってるところ。バレてますよ。
裕太さん:自分を棚に上げる行為はまさしくソフト老害だなって思います。
啓介さん:それは俺もソフト老害だと思う…入社したてのころ、先輩が俺に「絶対期日までに!」って厳しく詰めてきたことがあったんだけど、そんな先輩は締め切り2本抱えてネットサーフィンしてた。この野郎…って思ったな。あ、また昔ばなしだ。
美咲さん:そんな気にする必要ないです!思い出話は楽しいなって思います。
裕太さん:何度も同じ話をされたらやばいけどね。
啓介さん:気をつけます…。
美咲さん:でも啓介さんが言っていたように、まさしくそういう働き方をしている上司はソフト老害に間違いなく認定しますね。
真由さん:隣の席の先輩、業務時間中にずっといらない紙切ってメモ帳作ったり、チラシをたたんで「ごみ箱作った!」とか言ってきたりするんだけど…。
美咲さん・裕太さん:めっちゃソフト老害!
美咲さん:そのくせ若い子が机の上にリップクリームとかおいてたら「無駄なもの持ってきて」とか言いません?
真由さん:言ってるわ~、さりげなく教えておかないとですね。
裕太さん:そういう無駄なことばっかやって仕事は全然しないくせに、文句だけはいっちょ前な人とかもソフト老害ですね。
啓介さん:いつもなんもしてないくせに「それはよくないと思います!」「これって変じゃないですか?」とか言ってくるんだ。いるなぁ、そういう人。
美咲さん:鬱陶しいな…でもこれは、前年代共通のソフト老害項目なんですかね。
真由さん:そうかもね。
ーー筆者はセクハラ発言やパワハラ発言を聞くと「うわっ、ソフト老害だ!」と思うんですがどう思いますか?
美咲さん:ソフト老害通り越して害ですね…。頭が昔のまま止まってるんですか?って言いたい。もう散々セクハラとパワハラの話は出てて、社会全体で「よくないね」って認識しているはずなのに、まだ言うんだ…古いなって。
裕太さん:いまだに飲み会の強要してくる上司いますもんね。
啓介さん:俺、よくプロジェクト終わりに後輩を飲みに誘うんだけど、それもソフト老害かな…?
裕太さん:うーん…。断れる雰囲気があるならまだいいかな…でも、何度も断ってたら誘わないでほしい。こっちは「散々断ったから、もう僕のこと嫌いだよな」って思ってるし、それでもめげずに誘ってくるのは「きっとなんか言われるんだろうな」って思うので。
真由さん:セクハラは?まだある?
美咲さん:髪の毛切った?とか、言われるの嫌です。
啓介さん・真由さん:えっ!
美咲さん:あ、ちょっと言葉が足りなかったかな。「髪切った?」で会話が終わるならいいんですけど、そのあとに「何かあったの?」とか「彼氏と別れた?」とか聞かれるのが嫌です。めっちゃセクハラだと思う…。
啓介さん:世間話の流れっていうか、テンプレート的にそのあとの言葉、続けちゃうことあるかも。でもよく考えたら、髪の毛を切るのなんて個人の自由なのに、理由をあれこれ詮索するのは失礼だよね。
真由さん:会話の細かな部分にも、古い考え方が残っていて、パワハラ・セクハラって思われちゃうようなことはあるのかも。気をつけます。
ーー今回実際にみなさんのお話を伺って、「ソフト老害」という言葉が、お互いの関係をさらに遠くしてしまう壁になっていたのではと筆者は感じました。
美咲さん:そうですね。ソフト老害世代に人たちにはもう少し、言い方や考え方を変えてほしいなと思うことはきっとこれからもあります。でも、「なんでそういう発言をしたのか」など、こっちも先輩の気持ちを考えるようにしたいな。そしたら、すべてがすべてソフト老害発言ではないんだってことに気づけそう。
裕太さん:僕も、結構先輩の言葉をネガティブに捉えすぎるところがあって、そのせいで先輩の言葉が全部「ソフト老害発言」に聞こえてました。でも案外、僕の思うようなネガティブな感情を抱いている先輩って少ないのかも。もうちょっと前向きに言葉を捕らえるようにしたいです。
啓介さん:伝え方ひとつでこうも受け取り方が違うのかと勉強になりました。また、いまの自分たちって、20代だったころの自分が思っていた「融通の利かないうざい上司」になってるのかも…と、反省しました。新入社員だったころを思い出し、いろんな意見を柔軟に取り入れられる、頼れる先輩を目指さないとですね!
真由さん:あまり気にしないようにしていた「ソフト老害」という言葉ですが、実際に話を聞くと「私、結構当てはまるかも」と危機感を持ちました。いまここで知っておけてよかったです。年齢や立場が高くなると、ついついプライドも高くなって、上から目線で頑固な態度になっちゃうのかも…。後輩たちのお手本にならなきゃいけないのに「私はいいのよ」みたいな気持ちもどこかにあるかもしれません。これからはもっと後輩たちの言葉に寄り添い、自分の行いを見直すことから始めてみます!
ーー前向きな答えが出たようでよかったです!みなさん、本日はありがとうございました。
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