環境の変化で起こったこと
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そんなママ友カーストを亜紀さんが無事に抜けられたのは、お子さんが小学校に入ってからの環境の変化がきっかけでした。
「公立の小学校なのですが、児童数が多くて入学するお子さんはいろいろな園から来ていました。うちみたいに幼稚園に通わせていた家庭もたくさんあって、学力をひけらかしていたママ友ボスの子より賢い子どもはいっぱいいるんですよね、当たり前ですが。自分がどれだけ狭い世界にいたか、小学校に入って目が開く感じでしたね」
ママ友グループでは子どもの学力を競う雰囲気がいっそう強くなり、我が子より賢い子どもがいればその保護者の家庭の事情を知りたがったり、勉強以外の習い事を新しく増やそうとしたり、「執念だなと思いました」と亜紀さんは振り返ります。
学校の環境に注目が集まり、「カースト下位だったことで逆にみんなから放置されていた」という亜紀さんは、そんなメンバーに構わず息子さんの気持ちを汲んでサッカー教室に通う日々を大切にしていました。
体を動かすことが好きな息子さんは運動能力が高く、普段の授業ではみんなのお手本に指名されるくらいで、「連絡帳で先生からそんな報告をいただいて、涙が出ました」と亜紀さんは笑顔で言います。
息子さんは明るい性格で友達も多かったことから、運動会では大きな声援を受けてかけっこは一番、リレーではアンカーをつとめて「◯人抜き」を達成するなど、クラスの人気者だったそうです。
新しく生まれた「嫉妬」
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ところが、そんな亜紀さんの息子さんが気に入らないのが、ボスを中心とした「カースト上位」のママ友たちでした。
「あなたのお子さん、運動しか取り柄がないのねって参観日のときに会ったママ友に言われて、びっくりしました。グループLINEでは私だけランチのお誘いがなくなって、『勉強しない家庭とは遊ばない』とボスが言い出すし、ああこれは嫉妬だなと。ほかのママ友から聞いたのですが、自分の子どもがうちの息子から逆上がりを教えてもらったなんてこともあったらしくて、悔しかったでしょうね」
学力では太刀打ちできないのが運動能力で、グループ内でどれだけ亜紀さんをしたに見ようと学校では「自分の子どもより注目されている」のが現実。
幼稚園時代のように先生の称賛を独り占めすることができなくなった我が子の状況などが、カースト上位のママ友たちには屈辱だったのではないでしょうか。
「でも、私にとってはグループを抜け出すいい機会でしたね。園と違って送迎がなくなったので、メンバーと顔を合わせることが減り、グループLINEを未読スルーで放置するようになりました。近くのスーパーで姿を見かけたらやっぱり気まずいのですが、向こうから無視してくれるからかえって気楽でしたね」
こうなってみても生活に支障をきたすような影響は意外とないことが、亜紀さんには救いでした。
「息子は私のママ友グループじゃない子とも仲がよくて、その子たちと公園で遊ぶことが多く、近所でも評判がよかったのが幸いでした」
ほかにもグループを窮屈に思っていた「下位」のママ友たちも、亜紀さんがきっぱりと離れたのを見て少しずつ離脱が進んだそうで、「ずっとストレスだった」と言う女性もいたそうです。