春の訪れとともに、新しい生活を始めたというかたも多い季節。引っ越しや就職、結婚、出産など、人生の節目に立つと、ふと「親のありがたさ」を感じる瞬間があります。
「親に感謝していますか?」そんな問いかけに、改めて立ち止まって考える人も多いのではないでしょうか。
株式会社R&Gが全国の男女349名を対象に実施した「親に感謝していること」に関する意識調査では、日常ではなかなか言葉にしない“感謝の中身”が浮き彫りになりました。
この記事では、ランキングの結果をもとに、それぞれ寄せられたリアルな声とともに、共感を呼ぶエピソードを掘り下げていきます。
「親に感謝していること」第1位は?

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まず初めに、「親に感謝していること」について聞いた調査では、金銭面のサポートや子どもに対する親の姿勢に関して感謝しているかたが多い結果となりました。
それでは、ランキング順に調査結果を詳しく見ていきましょう。
7位 常識が身についた(6.3%)
7位にランクインしたのは、「常識が身についた」でした。
大人になってマナーを身につけていることの大切さに気づく機会が多くなりますが、親から学んだ「食事のマナーや箸の持ち方」「話し方」など、子どもにとっては窮屈に感じていたことも、成長した今となっては感謝につながるようです。
<回答者の実際の声>
「礼儀作法や言葉遣いに厳しかったこと。箸の持ちかたや話し方を褒められることが多い」(20代 女性)
「食事のマナーを教わったこと。社会人として会食する機会があり、恥をかくことがなくて感謝している」(30代 女性)
「『相手が嫌がることはやらない』『嘘はつかない』『挨拶は大きな声で』など、人間形成の根幹となることをしっかり叩き込んでくれたからです」(40代 女性)
同率7位 毎日食事が出てくる(6.3%)
同率7位にランクインしたのは、「毎日食事が出てくる」でした。
毎日の食事作りは手間がかかって大変なことですが、身体作りや健康維持など、子どもに対する親の愛情と労力の結晶といえるのではないでしょうか。
社会人になって一人暮らしを始めたりと、自身で食事を用意しなくてはならない環境に実際に置かれたことで、親が作ってくれた温かくて美味しい料理にありがたみを感じているかたが多いようです。
<回答者の実際の声>
「学校に行くとき、昼の弁当の用意をしてくれました。『働きながら弁当の支度をするのは難しいことだ』と、自分が会社に行くようになって初めて知り、苦労してくれた親に感謝しています」(20代 男性)
「毎日手作りでおいしい食事を用意してくれたこと。自分が親になって、家庭料理を毎日作る大変さがわかった。愛情たっぷりのごはんを食べさせてくれたことに、すごく感謝している」(40代 女性)
5位 習い事ができた(6.9%)
そして5位には、「習い事ができた」がランクインしました。
習い事はスキルが身につくだけでなく、チャレンジ精神や自信にもつながるため、習い事をさせてくれたことに関しても親に感謝をしているかたが多いようです。
習い事をするには、お金もかかりますし、ときには送迎をしなくてはならないときもあるでしょう。
こういった親の努力と時間が子どもの成長を大きく後押ししていたことがよくわかります。
<回答者の実際の声>
「習い事や塾などに、文句を言わずに送迎してくれたこと。当時は当たり前だと思っていたが、実際に子どもを育て仕事帰りに習い事の送迎をするのは、意外と大変だった」(30代 女性)
「たくさんの習い事を惜しみなくさせてくれた。新しいことへのチャレンジも、ハードル高く感じない。フットワーク軽く動ける」(40代 女性)
「子ども時代の習い事(ピアノや習字)。字は一生ものなので、恥ずかしくない程度に書けて感謝しています。またピアノを習わせてくれたことで、今は趣味にも生かせています(50代以上 女性)
同率5位 金銭面で苦労しなかった(6.9%)
同率5位には、「金銭面で苦労しなかった」がランクインしました。
毎日食事ができていたのも、習い事ができていたのも、学校に行けていたのも、親の努力があったからこそできたことなのではないでしょうか。
子どものころは気づかなかった経済的な恩恵も、大人になって気づくことが多いもの。
両親の“見えない努力”への感謝が、ここに現れています。
<回答者の実際の声>
「幼少期からお金面に関して不安なく過ごせた。大人になって、金銭的な不安のないことの良さがよくわかる」(30代 女性)
「いざというときに金銭的な支援をしてくれたことです。もし支払えなければどうにもならなかったであろう状況で、すぐにサポートしてくれたからです」(50代以上 男性)
4位 健康な体でいること(7.7%)

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4位には「健康な体でいること」がランクインしており、この回答に関して、50代以上のかたが回答者の4割以上を占めています。
体が資本という言葉の通り、健康はすべての土台。「親が気を配ってくれたからこそ今がある」「健康に産み育ててくれたありがたみ」を改めて実感しているようです。
生まれ持った体の丈夫さ、そして健康的な生活習慣を身につけさせてくれたことに感謝する声もあがっています。
<回答者の実際の声>
「虫歯がほとんどない口内環境になるよう、産み育ててもらったこと。同僚で『歯が痛い』と辛そうにしている人がおり、虫歯のせいで集中力を奪われることが想像できるから」(30代 女性)
「比較的健康で丈夫な体で生んでくれたこと。ほとんど怪我や病気をしないから」(30代 女性)
「今まで病気らしい病気に罹ったことがなく、医療負担がほとんどなかった」(50代以上 女性)
3位 束縛されなかった(9.7%)
3位にランクインしたのは、「束縛されなかった」でした。
親に干渉されず、自分の意志で人生を選ぶことができたという感謝も印象的です。
自由に育てられることが、自主性や柔軟性を育む土壌となったと感じる人も多く、親の“見守る姿勢”が子どもにとっては大きな財産になることを示しています。
<回答者の実際の声>
「あまり干渉せず、自由にさせてくれたこと。凝り固まった考えをしないで生きていられる」(30代 男性)
「『勉強しろ、◯◯しろ』など、口うるさく言われなかったこと。自分の人生を自由に決めさせてくれたこと。自分のことを自分で決断できる能力がついたと思う。また他人のせいにせず、自分で責任を取れる人間になった」(40代 女性)
2位 産み育ててくれた(12.9%)
「産み育ててくれた」ことに対して感謝しているかたが、12.9%と2位にランクインしています。
出産・育児は、想像以上に多くのエネルギーを必要とします。とくに自分が親になって初めて、その大変さに気づくかたが多いようです。
親の愛情や忍耐、そして「育てる」という行為の尊さが、この順位に現れています。
<回答者の実際の声>
「大人になるまでしっかり育ててくれたこと、すべてに感謝。今自分が親になって親の苦労がとてもわかり、大人になるまで育てることは大変だと感じているから」(30代 女性)
「出来の悪い私であるにも関わらず、きちんと育ててくれたこと。普通なら投げ出しそうなところを、じっと耐えてくれたから」(50代以上 女性)
1位 進学できた(24.4%)

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もっとも多くのかたが感謝しているのは、「進学できた」ということ。
進学とは、単に学校に通うことではありません。親の金銭的・精神的な支えがなければ、成し遂げられなかったという実感が、特に社会に出てから強くなるようです。
中学・高校、大学、専門学校への進学や塾通いなど、教育にかかる費用は少なくありません。
それにもかかわらず「やりたいことをやりなさい」と背中を押してくれた親の姿に、感謝する声が多数寄せられました。
<回答者の実際の声>
「大学まで通わせてもらったこと。大学に行けたおかげで就職できたから」(20代 女性)
「両親が二人とも高卒で私の大学進学なんて予定していなかったのに、私が『高校で進学校に行き、大学に行きたい』と言ったら何とか頑張って願いをかなえてくれたから」(30代 女性)
「あまり裕福な家庭ではなかったが、私立の中学・高校へ行かせてくれたこと。私立に行くことで、学力アップにつながったから」(50代以上 男性)
感謝を実感するタイミングは「社会人になったとき」

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実際に、親に対する感謝の気持ちを感じたのは、どんなときなのでしょうか?
調査結果を見てみると、「社会人になったとき」(22.9%)が最も多く、そして「子どもが生まれたとき」(15.8%)が続きました。
実際に親と同じ立場に立ったとき、初めて見えてくることがあります。
「あのとき親はこう思っていたんだな」と気づいたとき、自然と感謝の気持ちが芽生えるのかもしれません。
<回答者の実際の声>
「働き出すと稼ぐ大変さがわかり、感謝の気持ちを抱くことが多かったです」(40代 女性)
「結婚をしてすぐ強く感じ、出産を経験したときも改めて感じました」(20代 女性)
「社会人になって寮生活をするようになってからです。親にいろいろしてもらっていたことを自分でする必要がありました」(50代以上 男性)
「子どもができたとき。しつけや勉強など見ていてもどかしいときに、口出ししないことがどれほど難しく大切かを知った。自分で考えて行動できるように導くのは本当に大変」(40代 女性)