ポリアモリストが自分に正直に生きるには?
マイコ:私、このタイミングで自分がポリアモリーって気づけてよかったと思っていることがひとつあって。実はさっき話に出てきた、ポリアモリーの友人がいるっていう友達に、その人やそのまわりの人に会わせてもらっていろんな話を聞くことができたんだけど…。
ポリアモリーって、定義としては「全員が合意のうえで、複数のパートナーと恋愛関係を持つ」ってあるけど、実際にはそうもいかないことも多々あってさ。だって、新しく定義された概念・価値観だから、それを知る前にいわゆる「一般的な恋愛や結婚」をしてる人もいるわけよ。
ライターT:自分がポリアモリストってことに気づかずに、ってことだね。
マイコ:うん。例えば、結婚してから自分がポリアモリーと気づいた人もいる。でも配偶者が全員理解できるわけじゃないじゃん?だから、配偶者も別のパートナーも本当に大事なんだけど、結局いえないまま関係が続いてしまっているっていう人もいるんだよね。それはまさに世間的には「不倫」といわれてしまうことだろうからすごくつらいと思うよ。自分の気持ちに正直に生きているだけなのに、世間的にはバッシングの対象になっちゃうんだもん。
ライターT:結婚前に自分がポリアモリーだって知ってたら、相手に伝えることができていたかもしれないのにね…。
マイコ:だから、私は独身のときに気づけてよかったなって思ってるの。きれいごとじゃないじゃん?相手を傷つけたくはないけど、人を好きになる気持ちは誰にもとがめられないものだと私は思うから。
ライターT:マイコは、自分がポリアモリーってわかってからは、パートナーに自分の恋愛スタイルを話しているの?
マイコ:話した人もいれば、伝えられていない人もいる。ただ伝えられない人とは、いわゆる「お付き合い」はしないようにしてるけどね。相手がこうした価値観を受け入れられない場合もあるだろうから、まだいっしょにいたいって思うとすぐにカミングアウトするのは難しいなぁ…正直。
ライターT:そっか。いくら気持ちが通じ合っても、価値観の違いを埋めることができるかどうかは別モノだもんね。最後にマイコから、読者に伝えたいことがあればどうぞ。
マイコ:思考や関係性によっては尊重すべき部分がもちろんあるけど、ポリアモリーに限らず、隣にいる人がセクシャルマイノリティかどうかなんて、本来どうでもいいこと。人それぞれに個性があるから、言葉だけではなく、本当の意味でこの国はもっと多様性を認められる社会になればいいなって思います。まずは結婚制度、やめません?(笑)。まあ、結婚したい人同士が結婚することは、素晴らしいことなんだけどね!
恋愛だけでなく、「もっとこうしたい」「こうだったらいいのにな…」というぼんやりとしたイメージはあるけれど、それが社会通念やまわりの人たちの「当たり前」に合致しなかったとき、「自分がおかしいのではないか」「自分がズレているんだ」と思ってしまうこともあるかもしれません。
でも、マイコが「セクシャルマイノリティかどうかなんて、本来どうでもいいこと」というように、みな違う価値観を持っていて当然です。「ポリアモリー」というラベリングをされた人たちのなかでさえ、その恋愛スタイルも考え方も、ひとりひとり違うのだから。
「自分らしく生きる」こと。それは簡単なようで、とても難しいことかもしれません。でも誰もが臆せず自分の言葉で自分の価値観を表現できる雰囲気や、「人と自分とは違って当たり前だ」「人は自分とは違う価値観を持っている」という意識が広がっていけばいい…いつまでも止まらないマイコの身の上話を聞きながら、そんな風に思った夜でした。
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