迫られた選択
本音を話してくれた彼。私の夢でもある海外生活の実現と、彼自身の人生をよく考えて出した「別れ」という選択に納得ができました。これまで弱みを一切見せなかった彼の本音。なんだか男のプライドを傷つけてしまったかも…と、心がチクリと痛みました。
ここで未練タラタラな私が、「じゃあ海外に行くのやめるよ。近くであなたを支え続けたい!」といえば、きっと関係は修復できる。いまがその絶好のタイミングだ。
急に回ってきた予期せぬボールを打ち返すのに少し時間をかけて、「そうだったんだね。正直に話してくれてありがとう。今後女の子を振るときに、『結婚はできない』だけで片付けてはダメだよ。全面的に否定されて、人として失格といわれているような気分になるから(笑)。…じゃあお互い新たなステージで頑張ろう。ずっと応援しているね」そう告げて、レストランを去りました。
嘘はつけない、夢だけは譲れない
アラサー女子が選んだのは、それでも後悔しない人生。
大好きな彼を支えたい気持ちは人一倍あったけれど、いま海外行きのチケットを捨てたら、一生このチャンスは回ってこない。
やりたいことを抑制して親のいう通りに育ってきた私は、もう人生の岐路で嘘や言い訳をして後悔が残る道に進みたくなかったのです。
実をいうと、遠距離恋愛に自信が持てないような彼と交際していても、今後ほかの障壁があったときに乗り越えられないだろうという気持ちもありました。とはいえ、この選択は合っていたのかがわからなくて、しばらくは情緒不安定が続きました。
完璧な彼との別れ。もしかしたら理想的な相手とは、自分にとって完璧と思える相手なのではなくて、未完成のまま完璧な関係性というゴールへともに向かって行くことができる人なのかも…。そう気づけたのは、自分に正直に生きる彼のおかげでした。