幸せな2人の門出を祝う大イベント、結婚式。しかしそんな結婚式を、思わぬトラブルで台無しにされてしまった…なんてこともあるようです。
今回は招待客のなかに紛れ込んだ思わぬ人物のせいで、こだわりぬいた結婚式をめちゃくちゃにされてしまったという由紀さん(仮名)の体験談をご紹介します。
- 登場人物
- 由紀(仮名):体験談の本人
- 太郎(仮名):由紀さんの夫
- 美緒:中学校のバレー部時代からの由紀さんの友人。
- あかり:同じく中学校のバレー部時代からの由紀さんの友人。結婚式ではヘアメイクを担当してくれた
- 利樹:太郎の大学時代の先輩。利樹のとある行動のせいで、結婚式は地獄と化す
「最悪」のはじまり

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その日は、ガーデンウェディングにピッタリの晴天だった。
パティシエの友人に発注したアイシングクッキー、デザイナーの友人と一緒に作ったお気に入りのフォトブース。張り切って引き受けてくれた、親友たち5人によるブライズメイド。ドレスコードは「デニム」。
何もかも、私のこだわりを詰め込んだ最高の結婚式にするためのもの。
「由紀、本当におめでとう!すっごくきれい!」
「ありがとう…。みんながたくさん手伝ってくれたおかげだよ」
まだ式の前だというのに、早くも泣きそうになっている私を見て、ブライズメイドのうちの一人である美緒ももらい泣きしそうになっている。
「私たち、由紀の結婚式を手伝えて本当によかった。本当に、由紀にはたくさんお世話になったから…!」
ブライズメイドの5人とは、中学校のバレー部からずっと一緒だ。高校も大学も違ったし喧嘩もさんざんしたけれど、ずっと変わらず仲良くしてきた。本音でぶつかり合える最高の友人だと誰もが思っている。
最近はそのうちの一人、美緒の夫の不倫現場の証拠をみんなで無事押さえ、多額の慰謝料を請求することに成功した。
「私だってみんなにさんざんお世話になってる…本当にありがとう。きょうのことも、ほかの思い出と一緒に、ぜったいぜったい忘れないから」
せっかくのメイクが崩れないよう、頑張って涙をこらえる。
泣き笑いをする美緒を見て、ほかのブライズメイドたちももらい泣きしているのを見ると、ついに涙腺が決壊しそうだった。
「…にしても、まさかヘアメイクさんが直前で事故に遭うとはね」
バレー部部長で私たちのまとめ役をいつもかって出てくれるあかりが、私のリップを塗り直しながらつぶやく。
「あかりが美容師でよかったよ。かわりのヘアメイクさんにお願いするより、気心知れた人に頼めたほうが私も安心」
「準備段階から手伝わせてもらってて本当によかったよ。ドレスの雰囲気とかもわかってたから、すぐに構想まとまった」
あかりは照れくさそうに笑いながら、私の顔を見つめる。
完璧に進むはずだと思っていた結婚式は、こうして「ヘアメイクの事故」という事件から幕を開けたのだった。