新型コロナウイルスが猛威をふるい、世界中で外出自粛が実施されるようになってから随分と時が経ちました。
もちろん、目に見えないウイルスが一番怖いけれど、外出自粛によるストレスや、テレワークなどにより逃げ場がなくなった家庭・家族関係が、新たな脅威になっているという人もいるかもしれません。
なかでも、今年の流行語大賞にノミネートされそうなほどキャッチーなのが、「コロナ離婚」という言葉。筆者はすでに聞き飽きてしまうほど、まわりの人から多くの事例を耳にしています。
この期間でよくも悪くも夫婦関係がガラッと変わったという人が結構いるみたい…。ただ、話を聞くと悪い方向に行っている人たちの大半が、コロナ以前から気になる点や心に溜めている不満があったそう。
そのなかでも、「コロナ自粛はたまたま訪れてくれたいいタイミング」とばかりに子どもを連れて家を出て、現在パートナーとは別居中という先輩・レイコさんのお話を紹介します。
見た目や周囲への対応からは想像できないレイコさんの夫が発するモラルハラスメント(モラハラ)な言葉に、ドキッとする人もいるかもしれません。あなたも「知らず知らずモラハラ」していませんか?
- レイコ:ライターTの昔の職場の先輩、45歳。名門私大を卒業し、大手保険会社に就職。26歳で結婚、28歳で妊娠とともに退職。子育てに専念するため専業主婦に。ふたり目の子どもが中学に上がったタイミングで派遣社員として仕事復帰。最近はもっぱらK-POPアイドルの追っかけで心を満たしている。
- ライターT:色々な人を見てきて、自分には結婚は向かないとここ数年で確信したアラフォー。サブスクで洋画を見たりK-POPアイドルのライブ動画を見たりしながら自粛生活を楽しむ独身ライター。
妻も子どもも限界…モラハラ夫にSOS
ライターT:レイコさん、ついにお家を出られたんですね。
レイコ:出たよ。やっと決意できてね。
ライターT:以前から離婚したいって話は聞いていましたが、「下の子が大学に入学するまでは我慢する」っていっていたのに、このタイミングで「もう無理」ってなったきっかけってあったんですか?
レイコ:もちろんあったよ。育ち盛りの子どもがいるし、これまでは「自分さえ我慢すればいいや」って思ってきたんだけどね。
実は成長するにつれて、子どもたちのなかに父親に対する違和感や嫌悪感が出てきたの。毎日、子どもたちが父親の悪口を言うようになってきて、それがまた的を得てて。
まあ思春期だし、どの家庭の子どもにもあるものなのかなって思って最初は諫めてたんだけど、下の子の体に出るようになっちゃって。
ライターT:え!?父親へのストレスが原因で体を壊しちゃったんですか?
レイコ:そう。もともとお腹は強い方じゃなかったんだけど、動けないくらいの腹痛が続くようになって、学校や塾を休まなきゃいけない日も出てきて。それで、「これは私が思っている以上に子どもたちは無理しているのかも」って思ってね。
ライターT:それは心配ですね…。
レイコ:お腹の方は腸専門の病院に通い始めて本人も気持ち的に落ち着いたみたいで、だいぶ快方には向かってるけど、まだ本調子じゃない。
何回か夫に、息子の体調のことについてはもちろん、それとなく子どもたちが問題視している夫の態度や言動について話をしてみたけど、まったく通じなかった。
こっちは相談やお願いのスタンスなのに、ただ文句を言われているとしか受け取れないみたいで、まともに話を聞いてくれる感じではなかったんだよね。
でさ、うちの子たちふたりとも来年受験なのよ。
ライターT:それは家庭環境としては最悪ですね。そんなんじゃ受験勉強にもなかなか集中できませんし…。
レイコ:そう。それで家族や友達に話を聞いてもらったんだけど、全員に「離婚しろ」っていわれて(笑)。ただ、それこそ子どもの学費のこともあるし、すぐに離婚は無理でしょ。でも子どもたちが勉強に集中できる環境は整えてあげたい。それで、とりあえず思い切って家を出ようと。
ライターT:子どもたちに話して?
レイコ:そう。いま一度、父親に対してどう思っているかということと、今後どうしていきたいかということをふたりにもちゃんと聞いて。「3人でこの家出てみる?」って提案したら、「そうしてほしい!」ってふたりとも即答。大喜びだった。
ありがたいことに、隣駅にある友人の実家が空き家になってて、「落ち着くまで住んでいいよ」って言ってくれてさ。