私に釣り合う友人の条件は…
リサと賢一はあっという間になかよくなった。正しくは、賢一の距離の詰め方がスマートで、なおかつ強引で、あっという間にリサは賢一のペースに飲まれてしまったのだ。
さらに賢一のスペックの高さがリサの心をつかんで離さない。新進気鋭の若手実業家。投資家としても有名で、総資産は億を越えている。
「リサ、話があるんだ」
賢一に誘われてやってきたのは、夜景で有名な高級レストランだった。
「俺と、付き合ってほしい」
賢一は美しい夜景をバックに、突然ひざまずいて告白してくる。さらにバラの花束をリサに差し出した。
「もちろん!どうしよう…しあわせすぎて、涙が出そう!」
「まだ泣くのは早いよ、見て。リサにプレゼントなんだ」
賢一はリサに「Hermès」と書かれた箱を手渡す。リサは恐る恐る蓋を取った。
「これって…バーキン?」
「そう!リサほしいって言ってたから、買ってきた」
リサは言葉を失った。夢にまで見た、憧れのブランドのバッグがいま、目の前にある。
「ほんとうに?ほんとうにもらっていいの?」
「もちろんだよ!リサ、俺が君を愛している証だよ。受け取ってくれる…?」
「うん!賢一さん、ありがとう!」
リサは宝石のような夜景を見つめながら、賢一にとびきりの笑顔を向けた。
帰宅後リサはバーキンの写真をSNSに上げ、「彼氏が買ってくれたの」と投稿する。それと同時に、バーキンを持っていない友人たちのSNSをどんどんブロックしていった。
「私の友達として釣り合うためには、バーキンを持ってる子じゃないとね」