知らなかった真相
ファミレスに集合した美月と友人3人は、SNSのアカウントを片っ端からチェックしていく。
「とりあえず美月の彼氏のフォロワー見ていけばいいと思う」
「翔くんとの共通のフォロワーだったら結構怪しいかもね」
翔と良晴が知り合ったのは大学からだった。高校時代からアメフトをやっている、という点で意気投合した2人はあっというまに仲良くなり、社会人になってからもよく遊んでいる。
「見つけた」
探し始めて15分。1人の女友達が怪しいアカウントを見せてきた。
「投稿画像は3枚だけ…あまりSNSしない人かも。タグ付けされてる写真を見てみたら飲み会の写真が出てきたんだけど…この距離感はちょっと怪しくない?」
そこには、スカイツリーを背景におしゃれなディナーを楽しむ男女4人が映っていた。日付は2カ月ほど前だった。…こんな飲み会、聞いてない。
良晴に肩を抱かれ、幸せそうにピースする女性は、整った顔立ちのキレイな人だった。美月は女性の顔をまじまじと見つめる。
スラリとしたスタイルで、まさに美人。化粧があまり濃くなくて、髪の毛もさらさらとしている。パッチリとした二重まぶたはきっとアイプチじゃないし、すっぴんもすごくきれいなんだろうなと美月はすぐに思った。
さらに写真を左にスライドさせると、ツーショットや何気ない瞬間の仲睦まじい写真も出てきた。
「ただの友達、って感じじゃなさそう」
美月は自分と正反対のルックスを持つ女性と、良晴のツーショット写真を見て呟く。切なそうに自分を見つめている女友達の視線が伝わってきた。
「翔くんに聞いてみたら?知ってるかもしれない…」
「そうだね、連絡してみる」
美月は女友達のアドバイスを受け、女性の画像を翔に送り付けた。「この人、だれ?」という一言と一緒に。返事はすぐに返ってきた。
「すぐに言えなくてごめん。美月が傷つくの嫌で、言えなかった」
「どういうこと?誰なの、この人」
「良晴、二股かけてるんだ。黙ってて本当にごめん」
翔から送られてきた返事がしばらく理解できなくて、黙ってしまう。美月の様子を察した友人たちがそっとメッセージを覗いて口を押えていた。ありえない、二股なんて、信じられない。そんな声が美月の周りで聞こえる。
「二股ってどういうこと?」
NEXT:2022年8月5日(金)更新予定
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- ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。