義母からの「厄介」すぎる贈り物
「あ、そういえば母さんがね、あした野菜届くよって言ってた」
「…また?」
私は慎吾の顔を見て少し眉をしかめる。
「この間送ってきたばかりじゃない。それに、ちょっと痛んでるものが多いのよ」
「俺が野菜食べれるようになったし、さなも野菜好きだから、畑で取れたの食べてほしいんだって」
「気持ちはわかるけど…そんなしょっちゅう送られても消費できないわ」
案の定、次の日届いたのは大きな段ボール一杯につめこまれた野菜たち。
しかも半分近くが痛んでいて、なかには腐敗が進みすぎてドロドロになり、コバエがたかっているものもあった。
もったいないから食べなくちゃと思っても、コバエがたかっている野菜をみるとどうにもできない。
私は実家の母に「こんな野菜が届いた」と泣いている絵文字付きで写真を送る。
結局食べられそうな部分だけ取り除いて、あとは処分することになってしまった。
「ねぇ、お義母さんに電話してくれない?あんなに大量の野菜食べられないから、しばらくやめてほしいって」
「うーん…わかったよ。電話しておく」
しかし、一週間後、また義母から段ボール箱が送られてきた。伝票には「衣類」と書いてある。恐る恐るふたを開けると、そこには古いこども服がぎっしり詰まっていた。
黄ばんでいて、そのうえ虫食いの跡もある。さらにカビくささもあって、私はすぐにふたを閉めた。
「それ、ばぁばからきたの?」
さなが私の後ろから覗いてきた。
「うん、そう」
「見たい見たい!」
「うーん…」
再びそっとふたをあけると、やはりカビくさくて耐えられなかった。
なんとか洋服を数枚広げてみるが、どれも年代物すぎて、さなには着せられそうにない。そのうえ、
「さなが着るの?」
「多分、ばぁばは着てほしいなって思ってるんだと思うよ」
「うーん…」
さなは少しもじもじして、私の耳元で小さくささやいた。
「あのね、さなね、お花柄とかフリフリしてるのはね、ちょっとはずかしいの」
義母に失礼だと思ったのだろう、さなは私だけに伝えてくる。
「そうだね、さなの好みとはちょっと違ったね。それに…サイズも合わなそうだし」
段ボールのなかにはベビー服も混ざっていた。さなはもう5歳だ。80cmのロンパースなんて着ない。
結局私はふたを閉じて、また慎吾に伝えた。
「子ども服が送られてきたんだけどね、どれももう着れないものばかりなの。しばらくなにも送ってこないでって話してくれない?私が連絡すると、なんか揉めそうで怖いし」
「うん、わかったよ。あの服はさすがにね…。どれも姉さんが着てたやつだから30年以上も前のものだよ。うちは着れないから処分するって電話しておく」
「うん、ありがとう」
これでしばらく段ボールは届かないだろう。しかし、事態は思わぬ方向に進んでいった。