5歳の娘・さなと夫の慎吾と楽しい暮らしを送っていた、主人公の横尾真紀。
そんな真紀のもとには、頻繁に義母から腐敗している野菜が送られてきていた。「もう送ってこないでください」と伝えたときから、義母の態度が激変する。
「私をいじめないで」と絶叫し、家にやってきた真紀を追い出した義母。困惑した状態のまま帰ってきた真紀に対し、夫の慎吾は「なんで帰ってきたんだ」と怒りをあらわに…。
義母の暴走と嘘により、真紀は冷たい視線を浴びることになってしまった。
第1話:開封して戦慄…嫁がドン引きした「姑からの仕送り」の中身
第2話
- 登場人物
- 横尾真紀:この物語の主人公
- 横尾慎吾:真紀の夫
- 横尾さな:真紀と慎吾の娘。5歳
- 義母:隣県に住んでいて、野菜を手作りしている。
「八つ当たりして怒鳴っちゃった」義母の言い訳

image by:Shutterstock
慎吾は私に滅多に怒らない。付き合っているときからきょうまで、本当に怒らない温厚な人だ。
きょう以外で怒ったことと言えば、私が妊娠中、スーパーで大量に買い物をし、重いものを背負って帰ってきたとき。「大丈夫だよじゃなくて頼ってよ、一人の身体じゃないんだよ!」と結構本気で怒られた。
そして、久しぶりに怒ったのがきょう。
私は慎吾が義母に嘘の情報を伝えられ、勘違いして怒っているのだとすぐに気づいた。
「あのさ、勘違いしてるみたいだけど…私が家まで迎えに行ったら急にお義母さんに怒られたの。老人いじめをするやつっていちゃもんつけられて、『病院行かないんですか?』って言っても聞く耳持たず。挙句の果てに『帰って』って叫ぶんだよ。病気なんじゃないかと思って病院にも電話した」
「…それ本当に言ってるの?」
「うん。病院からは、認知症の前兆かもしれないから今度検査しましょうって言われた」
なおも怪訝そうな顔をする慎吾に、私はスマホの発信履歴を見せる。
「ほら」
「…うん」
「疑うなら近所の人にも聞いてみてよ。みんなこの騒動見てたはずだよ」
「そっか…ごめん、母さんの言葉だけをうのみにしてた」
「大丈夫」
「っていうかそんな急に怒鳴るって…なんか、母さんが心配だな。俺ちょっと電話してみる」
慎吾は私に素直に謝り、すぐに義母に電話をかけた。
意外にも義母は慎吾の話を冷静に聞き、怒鳴ることはなかったという。
「なんか母さんも、怒鳴ってごめんねって。イライラしてて八つ当たりしちゃったって言ってる」
「そっか…」
八つ当たりどころの騒ぎではなかった気もするが。
本当に認知症なのかもしれない、早めに病院で見てもらおうと、その日は慎吾と話し合って終わった。