5歳の娘・さなと夫の慎吾と楽しい暮らしを送っていた、主人公の横尾真紀。
そんな真紀のもとには、頻繁に義母から腐敗している野菜が送られてきていた。「もう送ってこないでください」と伝えたときから、義母の態度が激変。
義母の暴走と嘘により、参加した法事で親戚一同から冷たい視線を浴びることになってしまった。真紀とさなを仲間外れにする義母。ところが、義母の嘘に義姉が気づき始める。
第1話:開封して戦慄…嫁がドン引きした「姑からの仕送り」の中身
第2話:半笑いでそれ言うか…嫁が怒りで震えた姑からの「ありえない一言」
第3話
- 登場人物
- 横尾真紀:この物語の主人公
- 横尾慎吾:真紀の夫
- 横尾さな:真紀と慎吾の娘。5歳
- 義母(スミレ):隣県に住んでいて、野菜を手作りしている。
- 義姉(彩香):義母の嘘にいち早く気づく。
悪い姑

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「お母さん、どういうこと?まさか…嘘ついてないよね」
義姉は義母をじっと見つめる。
「私が嘘なんて、ひどい子たちだね。他人の真紀ちゃんを信じるの?」
「わかった、じゃあ近所の人に聞いてくる。真紀ちゃんが毎日ここに来てたのかどうか」
義母はまた黙った。
「スミレさん、あんたこれじゃあ…嫁をいびってる意地わるい姑じゃないか」
親戚の一人が、義母に声をかけた。部屋中にうんざりとした空気が流れる。
さっきまで私とさなに向けられていた冷たい視線は、いつしか義母に向いていた。
「七回忌にこんなくっだらないトラブル…父さんも泣いてるよ。ひかりさん、こっち座って食べよう。さなちゃんもおいで」
義弟が私とさなを手招きする。義弟の奥さんが、座布団を2枚用意してくれる。
「ごめんね真紀ちゃん。私が勘違いしてたんだ。こういうのは両者の話を聞かなきゃいけないね。本当にごめん」
義姉が頭を下げてくる。慎吾は「ほんとだよ」とぶつぶつ言いながら、私とさなの肩に手を置く。
慎吾も怒っていた。滅多に怒らない慎吾が、自分の母親に怒っていた。
義母はまだ、寿司を食べ続けている。
あとから聞いた話によると、義母は昔から腐った食べ物を平気で食卓に出していたらしい。痛んでいても工夫すれば食べられるのかもしれないが、痛んだ独特の風味やえぐみが、当時の慎吾の野菜嫌いを加速させてしまったのだろう。
だから義母があの野菜を送ってきたことに、実は何の悪気もなかったのではないかと思う。
野菜を断るならもっとうまい言い方があったのかもしれない。あのとき、怒りで声を大きくしてしまった私がそもそも悪いのかもしれない。根はいい人だから、気づかなかっただけなのかもしれない。
本当にいじめられたと思って、私に仕返しでもしてやろうと思ったのだろう。
時間が経つにつれて、後悔がじわじわと膨らんできた。