義母の「化けの皮」が剥がれた瞬間
「子どもをここまで泣かせて何にもおかしいと思わないんですか?老人いじめなんてデタラメでっちあげて、まったく関係ないさなをここまで泣かせて、恥ずかしくないんですか」
「ああ怖い怖い、子どもを盾に自分を正当化しようとしてる!」
「被害妄想もいい加減にしてください。お義母さんが私に理不尽に怒鳴ってきた日から、私が何かあなたにしましたか?お会いするのもその日以来ですよね。連絡すら取っていないのにどうやってあなたをいじめるんですか?」
義母は私の顔から目をそらし、「食べよう食べよう」と寿司をとる。
「嫁だから何も言えないと思っているんですか?これは立派な嫌がらせです。もう金輪際、この家の敷居はまたぎません。帰ろう、さな」
私はさなの手を引いて、部屋の隅に置いてあったバッグを取る。親戚が少しざわめく。
「母さん…ありえないわ」
慎吾が立ち上がり、義母に声をかける。義母は相変わらず知らんぷりをしていた。
「待って」
帰ろうとする私たちに声をかけたのは義姉だった。
「真紀ちゃん、確認させてほしいんだけど。真紀ちゃんは毎日お母さんのところに来て、ぐちぐち文句を言い続けたり、腐った料理を作ってお腹を壊させたり、病院に連れていかず新しいシップをもらえないようにしていたりしたって聞いたんだけど…」
「それ、誰に聞いたんですか?」
「お母さん」
怒りで震えそうになった。そんな私の様子を察したのか、慎吾が代わりに話しだす。
「真紀が毎日母さんのところに?行くわけないだろ!それに腐った料理って…腐った野菜を俺たちに送りつけていたのは母さんの方だ。真紀の作る料理はすごいおいしいんだよ、なんでわざわざ真紀が母さんにそんなことするんだよ。病院だって、迎えに来た真紀に怒鳴り散らして帰した母さんが悪いだろ!」
「…母さん、そうなの?」
義姉が義母の顔を見る。義姉だけではない、親戚みんなが義母の顔を見つめている。
いつのまにか義姉の子どもがさなの横に来て「さなちゃん、大丈夫?」と話しかけていた。
義母は寿司を食べながら、知らんぷりしているだけだった。
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