「ビザ目的」がこわい
トオル:初めのころは、全然恋愛なんてするヒマがなかったよ。ほぼ仕事と永住権取得のための準備に追われていたからね。出会いの場に行く余裕もなく、何かに追われている毎日だった。
昼は仕事をして、夜はビジネスビザの取得に必要な英語のスコアを得るために学校に行って、帰って復習と課題をこなす毎日。飲みとか遊びには数えるほどしか行ってないんじゃないかな。
ライターi:聞くだけでハードです…。それは恋愛どころじゃないですね。
トオル:そうだね。気持ちに余裕がで始めたころ、出会いの場にもたまに行くようになったんだけど、そのときにはかなり恋愛恐怖症になってた(笑)
ライターi:え!そこまで恋愛してなかったのに、何で恋愛恐怖症になっちゃったんですか?
トオル:こっちの諸先輩方と話している最中、俺がまだ独身だと知ると、必ずいわれる言葉があったんだよ。それが「ビザモク(ビザ目的)のヤツに気をつけろ」。
ライターi:なるほど…。確かにそんな話を聞いたことがあります。
トオル:俺も初め、ビザ目的で男性に近づく女性なんてそうそういないだろうと思っていたから、話自体を受け流していたけど、出てくる出てくる身近なビザモクの恐怖話…。
やれあの人の元妻が、パートナービザの永住権申請中に失踪して、探している間に届いたのは彼女の永住権付与の通知だけだったとか…何かしらの事情で永住につながらないとわかった途端、別れを切り出されたとか。
あと逆のパターンもあって、口説くときに永住権をぶら下げて女性を持ち帰りまくっているイヤな男がいるなんて話もあったな。
とにかく、男女関係なく永住権保持者では「ビザモクに気をつけろ」っていうのは、あるあるの話だったんだよね。
オーストラリアビザ豆知識
パートナービザはstage1と2に分かれ、stage1が承認された場合はパートナーとの関係が続いていれば永続的に滞在可能なテンポラリービザが取得できます。
その後、stage1の申請日から2年後に2人の関係が続いていることを証明する追加書類を提出して、stage2と呼ばれる再審査が通れば、その後パートナーと離婚しても滞在可能な永住権が取得できます。
もちろん一般的な永住権と同様に就労も自由にでき、社会福祉などのサービスを受ける権利もあるため、永住権が取れた瞬間にビザをもらう側の態度が一変して別居を始めるなんてパターンもあるそうです。
ライターi:なるほど…
トオル:そして、飲みに行く頻度が増えれば増えるほど、少しずつ先輩たちの忠告する意味を実感するようになっていったんだよね。