彼女からの突然の告白
ライターi:さっき理由がふたつあるっていってましたけど、もうひとつの理由はなんだったんですか?
トオル:あとは彼女の行動力だね。iちゃんも聞いてると思うけど、最終日夜にチカから、「私、トオルくんと今後も一緒にいたくて、どう人生を設計するべきか考えたいと思ってる。いいかな?」っていわれて。面食らったけど、ストレートな告白が嬉しかったし、俺も考えたいって素直に思った。
俺自身も短い期間だけどチカといる時間が心地よくて、惹かれる部分もあった。今後も関係を深めたい思ったけど、俺はオーストラリアで一生暮らしていくつもりだし、一緒にいる選択をすることによってチカの価値観やライフスタイルを大きく変えてしまう可能性がある。
どうしようか悩んでいたときに、彼女の考えを聞いて俺の考えも固まったんだ。彼女がここまで覚悟を決めていってくれたなら、結婚前提で付き合っていこうって。
ライターi:ふたりらしい潔い選択!
トオル:でも、もちろんすぐに結婚するっていう意味ではないよ。ふたりでどう生活をするのかも真剣に考えなければならないし、チカがオーストラリアに来るなら彼女も仕事を辞めたり、ご家族の理解を得る必要もある。海外で暮らすということは急にできるものじゃないからね。
とりあえず3ヶ月後に俺が日本に会いに行って両親に挨拶するっていう運びになった。俺もチカがこちらに来るためのビザについてもしっかり調べなければならないし、チカと暮らし始める具体的な時期は決めず、状況を見ながらふたりの新生活を整えようって話し合ったんだ。
ライターi:最終日夜から怒涛の展開ですね。
彼女の勢いに引っ張られて…
トオル:これでも展開が早い方だと思っていたんだけど、チカの行動力はそれを上回ってたんだ。
出発日当日、空港についたら彼女が搭乗予定だった飛行機がまさかのフライトキャンセル。それでチカは慌てて会社や関係各所に連絡してたんだけど、上司にフライトキャンセルの報告をすると同時に、帰国次第、今後のことを相談する時間を取ってもらってたんだよ。
ライターi:行動はやっ!
トオル:俺もさすがに驚いた(笑)。でもそれだけじゃなくて、次の日、無事に日本に帰国した後、成田空港でご両親に電話して「私、オーストラリアに好きな人ができたから、オーストラリアにいくね」って伝えたそうで、家族も大パニックだったって。
ライターi:いま、頭のなかに猪突猛進という言葉が浮かびました(笑)。
トオル:確かにチカを表すのにぴったりな言葉だね(笑)。
その後、英語も得意じゃなかったのに、ビザについてインターネットでリサーチしたりして、気づけば俺よりビザについても詳しくなってて。結局、家族にも俺が日本にいく前にスカイプで紹介してくれて、何度か話しをしてから対面できたから、だいぶ和やかなムードで挨拶ができたよ。
ライターi:すごい勢いで固めていきますね!そこまでどんどん進められてトオルさん的には引いたり、戸惑いはなかったですか?
トオル:なかったっていったら嘘になるけど、このくらいがちょうどいいのかなって思ったよ。それまでデートしてた子たちって、流れを匂わせて、結論をこちらに委ねる子が多かったから。
でもさ、海外で暮らしていくうえで、ある程度自分で道を切り開いたり、解決する能力って絶対に必要だと思うんだ。こちらがサポートするにも毎回やってあげられるわけではないし、パートナーになる人ならなおさら自分でなんとかしようと動ける人であってほしいって思ってた。だからチカの行動は、この先を考えると頼もしかったよ。
ライターi:そうですよね。パートナーっていったっていつも一緒にいられるわけではないし、長い付き合いになるからこそ、自立した関係ってお互いにいいですよね。
トオル:渡豪の前も後も、環境が大きく変わるなかでひとつひとつ向き合いながら解決していくチカの行動力は、気づけばどんどん巻き込まれていく感じもするけど、素直に尊敬できるし、応援できるし、協力したくなれるんだ。
だからスピード婚もできたんだと思う。俺、たまに思うけどこのくらいの巻き込み力ある人じゃなきゃ一生結婚してなかったと思うわ。
ライターi:なんか、チカの巻き込み力って、オーストラリア行きのチケットを予約したときから始まってたのかも。そこからあっという間にオーストラリアに会いに行って、トオルさんにピンと来て告白して、すごい勢いで問題を片付けていって。
あまりにスピーディにゴールへの道を作っていくから、こじらせ気味のトオルさんに不信感や不安を与えることなく、気づけば本当に結婚までたどり着いたんでしょうね。
トオル:言えてるかも(笑)。
国際結婚に限らず、自分からはなかなか先に駒を進められない「こじらせ系男子」に恋している女性は、もしかすると相手に主導権を委ねるのではなく、自ら動き、引っ張って行くことで、ふたりの恋を次のステップへと導くことができるのかもしれませんね。
次は海外生活に興味がなかったチカが、なぜ国際結婚という一大決心ができたのか。そのものすごい巻き込み力の源は何だったのかを聞いてみましょう。