永住保持者あるある?合コンでの鉄板の流れ
ライターi:実感するような、何かそういう経験があったんですか?
トオル:具体的な被害はないよ。永住権を取得して、仕事も落ち着いてきたころ、これからはもっと交友関係を広げようと思って、飲みに誘われたらできるだけ顔を出すようにしてたんだ。
そしたら気づけば合コンまがいのパーティ要員として呼ばれるようになってて(笑)。そんな場に何度か参加していくうちに、合コンの鉄板の流れが見えてきた。
ライターi:何ですか!?知りたい!
トオル:初めましてって挨拶から始まり、何の仕事をしているか、在豪歴何年か、何ビザで滞在しているのかというのが、だいたいの流れ。で、ステータスやビザが目的の子は、わかりやすく前のめりになるポイントがいくつかあるんだよね。
ライターi:あー。何かだんだん想像できてきました。
トオル:ステータスがほしい子は職業、ビザの子はフルタイムの仕事をしていることや在豪の年数で、ワーホリじゃないってわかったタイミングで態度が変わる。テーブルの下で足を組み替える音まで聞こえてきそうなくらい、如実にね。
ライターi:そんなに目的がはっきり見えちゃうと、いくら素敵な人でも冷めちゃいますね。
トオル:そうなんだよ。男のなかには永住権取得自慢して女の子に持ち上げられるのを楽しんでいるようなやつもいるし、そういったやりとりを見るたびに先輩たちの忠告が蘇ってきて、もうどんどん冷めてしまって…。
そうじゃなくて純粋な子もいるかもしれないけど、恋愛する気はどんどん薄れていって、いつもどこか斜に構えてた。連絡を取り合うことがあっても、深い関係になる前に関係を終えることがほとんどだったし。
友人の紹介で出会った彼女
ライターi:そこまで恋愛に冷めた人が、よく電撃的な結婚するまでに至りましたよね。
トオル:本当にそうだよね(笑)。我ながら、なかなかの「こじらせ独身」だったから。でも、半分ネタでまわりや地元の友達には「誰かいい人いたら紹介してくれ」っていってたんだよ。それで、地元の幼馴染が紹介してくれたのが、当時日本に住んでいたチカだった。
ライターi:チカの印象は初めからよかったんですか?
トオル:いや…なんていうか、いいとか悪いとかの判断材料にも入ってなかった。だってまず、仲のいい友人でさえ(オーストラリアに)行く行くいって実際に遊びに来るのは1割にも満たないのに、日本とオーストラリアで会ったこともない人と恋愛関係になるなんて現実的じゃないでしょ。
ライターi:そりゃそうですよね。日本国内でも距離が離れてたらそうなるかも。
トオル:だけどまぁ、突然連絡しなくなるのも悪いから、軽い感じでたまにメールして「気が向いたらオーストラリア遊び来て」って送ったりしてたんだ。そのうちこのやりとりも自然に終わるだろうって思いながらね。
そしたら突然、衝撃のメッセージが来たんだよね。「飛行機の予約取りましたー!行くねー!」って。会ったことも、電話で話をしたこともないやつに会いに来るのかって、ただただ驚いたよ。
ライターi:チカの性格を知っているから「やりそう~」って思うけど、驚きますよね(笑)。
トオル:驚くっていうか、「この子大丈夫?」に近い感覚だよね(笑)。でも、とにかく幼馴染の紹介だし、せっかくオーストラリアに来てくれるのなら楽しんでもらおうと思って、接待くらいの感覚でオーストラリアを案内することにしたんだ。
ライターi:で、空港で初めましてで、その旅行期間の約1週間で「結婚しよう」って決めたんですよね?その1週間に何があったらそこまで気持ちが進むんですか?
トオル:前提として、一緒にいて、昔から知っている友達みたいに楽しかったんだよ。だから自然体でいられていいなと思った。主に惹かれた理由はふたつあるけど、そのひとつがビザモクじゃないってところかな(笑)。
チカは日本でバリバリ働いていて、海外旅行は好きだけど海外で暮らすっていうことにまったく興味がなかったんだよね。だから、海外で暮らすうえで重要になってくるビザについても無頓着というか、そんな感覚すら持っていなかった。
移住してから女性と話す際はビザの話にすぐなっていたけど、チカとはお互いの仕事を始めたきっかけや姿勢、これまでに経験してきたことを話すなかで、価値観が似ていて。共感しあえるポイントが多かった。
もちろんビザについても話したけど、「何ビザか」っていうことよりも、そのビザを取るまでのストーリーや、俺の考え方を聞いてくれたんだよね。それがちゃんと俺を知ろうとしてくれているように感じられて嬉しかった。ひさしぶりに斜に構えず話すことができる感覚が、新鮮に感じたよ。
ライターi:トオルさん自身の話か…確かに相手自身に興味があったら、自然と話ももっと深いところに入っていきますよね。
トオル:そうだね。特に俺はそういうところに敏感になっていたから、チカとの会話が本当に楽しかったんだ。