さやか、28歳、独身。職業・デザイナー。気づいたら私も、仕事を選ぶか結婚を選ぶか、なんて選択を迫られる年齢になっていた。
大好きないまの仕事をとことん頑張りたい、そんな夢を持っている。でもそれって、周りから見たらどうなんだろう?結婚は、まだまだ程遠い。「あの子、彼氏いたんだ…」と、SNSの結婚報告で知ることも増えてきた。あぁ私、やっぱり置いてかれているのかも…。
盛り上がるグループLINE、置いてけぼりの私
「報告があります!私プロポーズされちゃいました!」
仕事終わりにスマホを開くと、LINEの通知が100件も溜まっていた。高校時代の4人グループだ。盛り上がりすぎて毎回通知がうるさいから、実はこっそり通知をオフにしていた。
「乗り遅れた、おめでとう!」
お祝いムードで盛り上がる彼女たちのトークに私も参加する。彼女は彼氏を「ナマケモノ」とあだ名をつけ、「ナマケモノだから、休みの日もおうちデートばっかり」なんて愚痴に付き合っていた日々が懐かしい。いつか結婚するんだろうと思っていたが、ようやくか。
「時期的に結婚式の予定はまだないんだけど、籍は来月の交際記念日にいれることにしたんだ!」
「じゃあ、私たちでひっそりとお祝いなんてどう?」
友人たちが彼女をお祝いしようと盛り上がり始めた。最近しばらく顔を合わせてなかったから、集まりたいもんね。
「それじゃあ土曜日は?ふたりとも子どもいるからランチのほうがいいよね」
彼女は既婚者である私以外のふたりにそう声をかけた。高校時代からなかよくしている私たち4人は、気づけば2人が子持ちの主婦。そしてもう1人もいま、結婚を控えている。時代は晩婚だっていうけれど、少なくとも私の周りはそうじゃないと思う。
「ランチが助かる!赤ちゃん連れでもいけるとこあるかな?」
「私いいお店知ってるよ!予約取れるか見てみるね。あ、さやかはもちろんこれるよね?」
それまでLINEのトークをただ傍観していたのに、突然声をかけられて驚いた。そうだ、私もお祝いに参加する立場だった。楽しそうだなぁなんて眺めているだけじゃダメだよね。えっと今週の土曜日は…
「ごめん、今週は土曜出勤なんだ」
「そっか…じゃあ来週は?」
「来週もなの。ごめんね、3人でお祝いしてきて!」
仕方ないよねといい聞かせながらも、心のなかは「羨ましい」という気持ちでいっぱいだった。いいなあ、私もお祝いしてあげたかった。でも土曜日は仕事だし、夜なら空いてたんだけどな。
年を重ねるごとに友人たちとの環境にズレが生じている。遊ぶ時間も、日にちも、気づけばほとんど合わなくなっていた。最後に会ったのはいつだっけ?
28歳、いまだ独身で彼氏ナシの私。これでいいと思ってたけれど、もしかして私だけ置いていかれてるのかもしれない…。