歓迎されない結婚報告<優華視点>
「私、今度結婚することになりました!実は妊娠3カ月で~す」
私は小春の抜けたグループLINEに喜びのメッセージを送る。先週達樹が小春に別れ話を切り出した直後、小春はグループLINEを抜けていた。
別れ話をするんだと達樹から聞いてたから、抜けたのを見た瞬間にうれしくてうれしくて叫びだしそうになった。
勝った、勝ったのだ。私が彼女に勝ったのだ。略奪が成功した。恋のバトルに勝ったんだ。
メッセージを送って1日経っても、既読がつくだけで誰からも返事がない。小春を抜けた4人は無言を貫き通していた。
「あ、嘘だと思ってる?これエコー写真です!」
私はトークルームにエコー写真を送った。すると、1人から返事が来た。
「小春の気持ちを考えたらおめでとうって言えないし、いまの優華に共感できない」
その言葉に、瞬時に怒りがわいてきた。友人のおめでたい結婚報告を、なぜ彼女たちは喜んでくれないんだ。敗者のことなんて、いまさらどうでもいいでしょう?だって勝ったのは私!小春はまた、別の人を見つけたらいいじゃない。
しかし、その日のうちに私はトークルームから追放されてしまった。
「みんなバカみたい、最後に幸せな結婚をできた人が勝者だって知らないんだ」
私は小春と達樹が同棲していた部屋で、エコー写真を眺めながら呟いた。きょうから私が達樹と同棲をするの。あの人の彼女になり、妻になり、母になるの。
NEXT:2022年1月14日(金)更新予定
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- ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。