愛があれば、どんな関係だってかまわない。たとえそれが「親友の恋人」であっても、これは真実の愛なんだから。
自分の気持ちを優先し、親友の恋人を略奪した主人公を待っていた未来とは…。
第一話:略奪、結婚
- 登場人物
- 優華:この物語の主人公
- 小春:優華の親友で達樹の彼女
- 達樹:小春の彼氏
しあわせそうな親友<優華視点>

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「私ね、来月同棲することになったの!」
小春はアイスカフェラテをストローでぐるぐるかき混ぜながら、照れくさそうに報告してきた。
ガムシロップが沈んで、ゆらゆらと混ざりあう。私の気持ちもそんな感じ。あなたのその報告のせいで、どんより沈んで、かき混ぜられる。
天気のよい秋の陽気が、より一層小春を祝福しているようでムカついた。
「よかったじゃん、ずっと同棲したいって言ってたもんね」
本心を悟られないように笑顔を作った。小春の幸せそうな顔がいまの私には憎たらしく見える。それと同時に、何も知らないでかわいそうにと少し鼻で笑った。
小春とは幼稚園のころからの付き合いだ。母親同士がなかよくて、小学校にあがってからきょうまでよく遊んだ。幼馴染兼、親友である。
家族ぐるみで旅行にもよく出かけた。お泊り会だってした。喧嘩もしたし、仲直りもした。お互いのプライベートのことも、デリケートな心の内側も、何でも知っている。
高校も同じ学校に進んだ。学力も同じくらいで、好きなものも似ている。だから自然と同じ友人が集まって、いまでは私と小春を中心に6人ほどのグループでつるむことが増えた。
社会人1年目。
日々忙しさとストレスに追われる私がなんとか毎日を過ごせているのは、小春を含めた友人たちの支えがあるからだったのだろう。
それはほかのみんなにとっても同じなはず。支えあい、励まし合い、つらいときには手を取り合う。そんな素敵であたたかい関係を大事にしていた。
私もすごく大事にしていたんだ、つい3カ月前までは。いまの私を支えているのは、友人なんかじゃない。愛する人だ。
だから小春のうれしそうな顔を見ても、心から喜んであげられなかった。むしろ別れてしまえと思っていた。…あなたの彼氏、昨夜もうちに泊まりに来たんだよ。