中学1年生の娘を持つゆかりは、担任との個人懇談で思わずときめいてしまう。
若くてかっこよくて、優しいイケメン担任の佐々岡。日に日に佐々岡への思いを募らせていくゆかりは、越えてはいけない一線を越えようとしてしまう…。
第1話:担任へのときめきと禁断の関係
- 登場人物
- 小泉ゆかり:44歳主婦。この物語の主人公
- 小泉桜:13歳。ゆかりの娘
- 佐々岡:24歳。桜の担任
娘の担任との出会い

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ゆかりは悩んでいた。
目の前に座る、娘の担任の話があまり耳に入ってこない。それもそのはず、佐々岡先生のビジュアルがアイドル級に優れているからだ。
中学1年生になった娘、桜の個人懇談。
若い先生だとは聞いていたが、まさか20歳も年下の先生にときめくことになるなんて。ゆかりは自分の単純さに少し呆れながらも、日常に突如舞い込んだラッキーイベントを精一杯満喫しようとしていた。
こちらの質問に丁寧に答え、娘の様子を細かく教えてくれて、なおかつかっこいいなんて。
「というわけなので、まぁ何かあったらいつでも連絡してください」
「はい!ありがとうございます」
「お母さまから、なにか気になる話はございますか?」
ここで特にないと言ってしまえば、個人懇談が終わってしまう。時間はあと2、3分。どうにか話を繋げてギリギリまで担任の顔を拝んでいたい。
そう思ったゆかりは、咄嗟に思いついた話題で会話をつなぐ。
「友達関係はどうですか?ゆかり、結構引っ込み思案なところがあるので…」
「うーん…僕が見ている限りは問題ないように見えます。いつも明るくて、クラスのムードメーカー的存在ですよ」
「そうですか、よかった…家では思春期なのか、中学生にもなるとあまり学校のことを話してくれなくなったので」
「結構ほかのご家庭のお母さんがたも、おうちでの関わり方に不安を感じている人が多いみたいですね…多感な時期ですから」
「先生はどうでした?思春期のころって、やっぱり親と話すの嫌でした?」
「えっ、僕ですか?」
話題をもっと膨らませられるんじゃないかと、つい娘とは関係のない質問を飛ばしてしまう。
「僕は…そうですね。あれこれ聞かれるのとか、嫌でしたね」
「佐々岡先生にもそんな時期があったんですね。穏やかそうに見えるので、そう言うのとは無縁かと」
「あはは、誰だってありますよ」
笑った顔に、ゆかりはまたときめいた。
そんなことをしているうちにあっという間に時間になって、個人懇談の時間が終わる。
久しぶりの癒やしだった。名残惜しい。もうあと5分、いや10分、いいや30分くらい話せたらいいのに。
ゆかりは後ろ髪を引かれる思いで、仕方なく教室から出た。
「何かあれば、いつでも電話ください」
最後にニッコリ笑って語り掛けてくる担任の顔に、また心が揺れ動く。
「ええ、すぐに電話します」
ゆかりは担任のその言葉を、半分真剣に受け止めてしまった。