配偶者と離婚したいけれど、離婚そのものを反対されたり条件で折り合いが付かなかったり、話が進まないときに利用できるのが離婚調停です。
家庭裁判所に申し立てることで誰でも使える制度ですが、調停に臨むのは非日常的と言える事態であり、周囲との関わり方がネガティブに変わることもあります。
進行に時間がかかる点も調停のデメリットといえますが、調停を申し立てた後で生活にどんな影響が出たか、実際に進めている人たちのリアルをお伝えします。
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「親族による嫌がらせ」が生活を脅かす

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- 体験者プロフィール(すべて離婚調停時)
- 年齢/性別/職業:35歳/女性/会社員
- パートナーの年齢/性別/職業:35歳/男性/会社員
- 家族構成:夫、自分
- 離婚検討の主な理由:夫の不倫
「夫の不倫が発覚して離婚を決めましたが、同意した夫と意見が違っていたのが義実家。
義父はすでに亡くなっており、家には義母と独身の義兄がいますが、『不倫したのはあなたがこの子を大事にしないから』と義母が電話で言ってきたときは本当に引きました。
夫はそんな身内を放置というか、不倫がバレたことと離婚を言い渡された二重のショックで打ちひしがれており、その姿がまた私が悪者にされる原因でした。
私の欄を埋めて渡した離婚届も、夫は実家に持っていき『なんて身勝手な人だとお前のことを言っていた』と、義母に預けたそうです。
埒が明かないので、夫と同居のまま離婚調停を申し立てました。
幸い子どもがいないので行動は起こしやすく、自分が相手方となってもぼんやりしたまま、抜け殻のような夫との生活はそこまでストレスはありませんでした。
問題なのは義実家と1kmも離れていないことで、近くのスーパーで姿を見かければ通路でにらみつけてくるし、会計のときは威圧するようにわざわざ後ろに並ぶし、非常識な言動に疲れてしまい…。
『どうして不倫された私のほうがこんな目にあうのだろう』と思うと悔しくてたまらなくて、負けるものかと生活のスタイルを変えないことで対抗していましたね。
近所を軽く走るのが私の習慣であることを知っている義母や義兄は、私が通る時間帯を狙って道に立っていることもありました。
危害を加えられるようなことはないためどこに相談することもできず、思い余って調停でこのことを話したら、顔色を変えたのは調停委員のふたり。
『それは問題ですよ。いつからですか?』『相手方は知っているのですか?』といろいろと質問され、調停を申し立てる前から始まっていること、夫には話しているけどまったく取り合おうとしないことなどを伝えました。
その日は離婚ではなく嫌がらせについて話すことが決まり、調停委員のふたりからは『夫さんは“あの人たちが勝手にやっていることだ”と言っていましたが、付きまとうのはストーカー行為であり、警察を呼ばれても文句は言えないことを話しました』『自分の離婚で起こっていることであり、関係ないは通らないし、妻に負担をかけるような言動は控えるべきと伝えています』と、丁寧に説明がありました。
警察という言葉にさすがに夫も怯えたのか、その日のうちに親族と話してやめさせることを約束して、調停は終わりました。
その日以降、スーパーで見かけても無視されるようになり、道端で私を待つ姿も消えてほっとしています。
義母と義兄はいまも調停を操作しようとあれこれ夫に吹き込んでいるようで、進行は順調とはいえませんが、こんな人たちには絶対に負けないと気を強くしながら臨んでいます。
意外だったのは調停委員のふたりの様子で、調停と関係ないこんな話は自分で何とかしろと言われると思っていたけれど、問題として取り上げて夫にやめるよう話してくれたことは、本当に感謝しています。
それからも義母たちの行動について確認してくれて、アドバイスをもらえるので心強いです。
調停は時間がかかるし、離婚が叶うにしろ不成立で終わるにしろ、おかしな嫌がらせを受けたときは早めに相談するのがいいと思いました」
身内の離婚について、非があるのは当人なのに配偶者側を責める親族は少なくありません。
それも度が過ぎれば嫌がらせに発展し、生活を脅かすなら見過ごせない問題になります。
調停は確かに離婚について話し合う場ですが、それによって片方がいわれない悪意にさらされることを調停委員は見逃しません。
嫌がらせがかえって調停の結果を悪くすることもあり、対等に話し合いを進めるためにも、こんなことが起こったらまず相談してみるのもひとつの手段です。