結婚1年目になる主人公・梨花と梨花の夫・陽一は、陽一の両親と二世帯住宅に住んでいた。完全分離型にしたものの、義母の干渉は少し行き過ぎていて…。
ある日、息子である陽一の背中を一生懸命洗い流していた義母。親密すぎる2人の関係に、梨花の苛立ちは限界を迎えてしまう。そんな梨花の怒りの行動に、義母の怒りが爆発する。
第1話:二世代住宅の悲劇…新婚の嫁がドン引きしたマザコン夫のありえない行動
第2話:二世代住宅でドン引き…妻が風呂場で見た夫と義母のありえない光景
第3話
- 登場人物
- 梨花:この物語の主人公
- 陽一:梨花の夫。
- 義母:陽一の母。梨花と陽一と二世帯住宅に住んでいる。
両親と義父も唖然とした「家族のルール」

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「息子さんの背中を…お義母さまが流されるんですか?」
少し震える声で梨花の母親が問いかける。
陽一は青ざめた顔のまま、湯気の登るコーヒーをゆっくりとすする。ソファでテレビを見ながら話を聞いていた義父も、ダイニングテーブルでせんべいを割っていた梨花の父も、一斉に固まってしまった。
口を開いたのは義母だった。
「ええ、おかしいですか?我が家ではこれが当たり前なんです。子どもは何歳になってもかわいいものですね」
その言葉を聞いて、陽一も青ざめた顔の筋肉を動かしだす。
「はは、いろんな家がありますよね。うち、母親との仲はいいんだって…自慢なんですけど」
へらへらと笑いながら陽一が声を出す。梨花はそんな陽一の姿を見て、思わず拳を振り上げたい衝動に駆られてしまった。
「旦那さまの背中は流して差し上げるんですか?」
母は動揺を隠しきれないまま、静かに義母に問いかけた。
「そんな、夫の背中なんて気持ち悪い!いまさら嫌ですよ、ねぇあなた」
義父は義母の問いかけに答えなかった。
「そうですか。30過ぎの息子さんの背中を流すのも、おかしい話だなと思いますが…違うんですか?」
「親子と夫婦は違うでしょう」
「男女、という点では同じです」
「息子に私が性的な興奮を抱くとでも?」
「裸の息子さんが、戸惑うんじゃないんですか」
「はぁ…息子ですよ?母親に欲情するなんてそんなことあるはずない」
「あるかもしれないでしょう。事故が絶対にないとは言い切れません。私は非常に気持ち悪いなと思います」
梨花の母親は強い口調で義母にぴしりと言い切った。義母はわなわなと拳を震わせながら、口を開く。
「なぜそんなことを言うんです?人の家の習慣に口出さないでください!」
「人の家?大事な娘が嫁いだ家です。親戚でしょう」
「他人です!嫁はうちのルールに従うべきです!部外者は引っ込んでいてください!」
怒りで震えた義母は、そのまま梨花の両親を強引に家から追い出した。
帰り際、梨花の母親が梨花に「いつでも帰ってきていいんだからね」と呟いたのを、梨花は頭のなかで何度も繰り返していた。
陽一のことは嫌いじゃない。でも、陽一が義母と一緒にいるのは気持ち悪い。そんな状況を変だと思わない陽一は嫌いだ。
玄関ドアがパタン、と閉まり住宅内に静寂が戻ってきた。梨花と陽一が無言で自分たちのリビングに戻ると、義母もついてくる。義父は知らんぷりで自分の部屋へと入っていった。