結婚1年目になる主人公・梨花と梨花の夫・陽一は、陽一の両親と二世帯住宅に住んでいた。完全分離型にしたものの、義母の干渉は少し行き過ぎていて…。
梨花が結婚1年目のお祝いとして陽一からもらったピンキーリング。全く同じものをねだり、さらにはネックレスまで要求。毎朝お弁当を作っていた梨花に張り合うように、陽一にお弁当を作るようにもなった。
梨花を敵対視する義母の異常すぎる行動はどんどんエスカレートしていく。そして梨花は、義母のおかしな行動と、ちっとも違和感を抱いていない様子の陽一に対し、苛立ちを募らせていくのだった。
第1話:二世代住宅の悲劇…新婚の嫁がドン引きしたマザコン夫のありえない行動
第2話
- 登場人物
- 梨花:この物語の主人公
- 陽一:梨花の夫。
- 義母:陽一の母。梨花と陽一と二世帯住宅に住んでいる。
親子デート

image by:cowardlion/Shutterstock.com
結婚記念日に梨花がもらった指輪と、全く同じものを母にプレゼントする陽一。
少し早い母の日なんだろう。母の希望に答えてあげたかったんだろう。息子としての優しさなんだろう。梨花はそう思い込もうとして、そのたびにモヤモヤしていた。
そして、義母は指輪をもらったらもう何もかも落ち着くだろうと思っていたのに、状況はちっとも変わらなかった。
週末、陽一の希望でショッピングモールに行くことになった。
最初は陽一と梨花の2人きりで行く予定だったが、そんなことできるはずがない。案の定、車の後部座席にはちゃっかり義母が乗り込んでいた。
「ごめんね梨花、せっかくのデートなのに」
車から降りたとき、陽一が申し訳なさそうに声をかけてくる。
「別に。ただの買い物でしょ。デートだなんて思ってないよ」
「そっか…でも、ごめん。俺…」
陽一が何か言いかけたとき、義母が陽一と梨花の間に割り込んできた。
「早く行きましょう!陽ちゃん!私、きょう春物のコートがほしいのよ」
「あ、ああ。そうだね。いこっか」
そのまま義母は陽一の腕を掴み、ズンズン前へ進んでいく。梨花は2人の後ろをトボトボとついていくだけ。
陽一の隣を歩いてもよかったのだが、なんだか嫌だった。息子の腕を掴んでベタベタしながら歩く母親と、もう片方の腕を掴む嫁。知らない人が見たらどう思うんだろうか。
だったらあたかも「他人です」という顔をして、後ろをついていく方がまだいい。
しばらく歩いて梨花が気になるお店のマネキンを見ていると、なにも気づいていないのだろう、陽一と義母はどんどん前に進んでいく。
梨花はこの状況をおかしいと思わない陽一に腹を立てつつ、先に1人で帰ってやろうかと本気で考え始めた。行きに運転していたのは陽一だが、帰りに運転するのは梨花なので鍵は先に預かっている。
梨花は本当に帰ろうかどうか悩んで、結局やめた。そのまま2人が戻ってくるまで、1人でショッピングを楽しむことにした。
義母のいない自由な時間は、梨花にとって最高に楽しい時間であるのと同時に、非常に惨めでもあった。