夫の広大となかよく暮らす妻の芹那。そろそろ妊活を…と思っている広大だが、芹那はなんだか乗り気ではない。
その理由は、家計への考え方がまったくと言っていいほど夫と一致しないからだった。姑に相談し、夫に考え方を改めてもらおうとする芹那だったが、大事件が起きてしまう…。
- 主な登場人物
- 芹那:この物語の主人公
- 広大:芹那の夫
妊活するなら家計のことも考えないと…

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「そろそろ子どものこと、考えようか」
夫の目線の先には、SNSに上がっていた友人の出産報告。
「うん…そう、だね」
しかし、私はあまり妊活に乗り気になれない。それにはわけがあった。
「じゃあ、これからの生活費のことについても話したいな。子どもが生まれるってなるとお金がかかるし…」
「生活費はこれからも折半でいいでしょ!」
「えっと、折半だと結構苦しいかなって…。私、いま出しているお金でもういっぱいいっぱいなんだよね。だからこれ以上はお金、出せないの。あなたが多く出してくれると助かるんだけど」
「俺がお金を多く払うってこと?なんで?それはおかしいでしょ。不公平じゃない?」
こうやって、お金の話をすると夫はすぐに不機嫌になるからだ。
共働きの私たちは、収入に差があった。月15万円の私に対し、夫は月27万円。
なのに、お互い出し合う生活費は毎月13万円の完全折半。そして家事分担も折半かと思いきや、ほぼ100%私が担当している。余ったお金は好きに使えるのだが、私の場合は2万円しか余らない。夫は大好きなギャンブルや車代に使い放題で、貯金しているわけでもない。
正直言って、あまり余裕がない。
ここから妊娠、出産、子育てと考えたら、完全折半はやめてほしい。それに、もうひとつ懸念があった。
「じゃあ、私が産休と育休に入ったらどうするの?」
「貯金から足りない分出してよ」
「え?貯金?」
「毎月余ったお金、貯金してないの?」
「無理だよ、2万円しか残らないんだよ?私の会社はボーナスもそんなに多くないし、貯金から出したらあっという間になくなっちゃうよ」
「だからって俺が多く払うのは変でしょ!2人の子どもだよ?」
「2人の子どもだからこそ、じゃないの?」
こんな様子で、私の収入が減ったとしてもちっとも多く払う気がないのだ。
「芹那の意識が変わらないと、子どもはまだまだ無理そうだね」
挙句の果てにこんな調子で話を終わらせるから、一向に進展しない。ずっと現状維持のままである。私がおかしいのかと錯覚しそうになるが、なんとか夫の言いなりにならずにいられている。
そんな状態が3年続いていた。