配偶者と離婚したいがなかなか話が進まないとき、誰でも利用できるのが離婚調停です。
家庭裁判所で申し立てを行う離婚調停は、双方の主張を聞き離婚が成立するかどうかを考える場ですが、相手方となった配偶者が拒む限りは無理に話を進めることはできず、いずれ「不成立」となります。
調停が不成立を迎えるのは悔しいしストレスがありますが、一方で裁判所を離れた後で事態が好転することもあります。
今回は、調停が不成立になった後の状態についてどんなことが起こったかご紹介します。
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伝わった「本気度」(女性/40歳/接客業)
「4歳年上の夫と離婚したいと思ったのは、私に隠れて借金を重ねていたからです。
借り入れの明細書を見つけた私に問い詰められたときよりずっと多い額で借りていたことがある日わかり、これ以上夫婦でいるのは無理と見切りをつけました。
両親に話すとやはり離婚に賛成で、夫に切り出したのですが『絶対にいやだ』と返されたため、それからは両親が間に入って夫とやり取りをしてくれていました。
私は子どもを連れて実家に戻り、両親から夫との話し合いの様子を聞くのですが、『夫婦なら一緒に返済するのが義務だろう』と言ったことがわかり、調停を申し立てるのを決めました。
離婚調停については友人が経験していたので知識はあり、夫の非常識な言い分は絶対に通らないだろうと自信があったのですが…。
調停委員のふたりは、想像した通り夫の主張について『それは身勝手』と返してくれていたそうですが、問題は借金した理由で、夫は『妻の収入が低いから仕方なく』と私のせいにしたのですね。
我が家は子どもが障がいを抱えているため私が外で満足に働けず、ほとんど夫の収入で生活していましたが、それを借金の理由にすることに本当に腹が立ちました。
借りたお金を何に使ったのかも夫の説明は曖昧で、ギャンブルなどの痕跡を見つけられないまま別居してしまった私には、『生活費だった』と言われたら反論する材料がありませんでした。
絶対に離婚したい私とそれを拒否する夫とで調停は難航し、調停委員のふたりからも『離婚の成立は難しい』と言われてしまい、裁判官の判断もあって調停は不成立に。
それでも、別居の期間が長くなればそれを離婚事由にできることがわかったので、悔しいけど時間をかけて離婚を進めていくことに決めました。
両親も夫と話し合いを続けることはもうやめようと言って連絡をとっていなかったのですが、調停が不成立に終わってから一週間後、夫から父に電話がありました。
夫が言うには、調停委員の『自分が作った借金を、お子さんの事情があってきちんと働けない奥さんのせいにはできない』『借金以外に道はなかったのか』『使い道が不明な借金を奥さんに払わせるのは無理』などの言葉がいまごろわかってきて、調停を申し立ててまで離婚したい私の気持ちを考えたらこれ以上夫婦でいるのは無理だろうと思ったとのこと。
離婚を決めるならいまだと思った父は、離婚届を渡すから記入してほしいと夫に頼み、すぐに持っていってその場で書かせたそうです。
財産分与や親権については調停である程度話ができていたので、そのまま財産分与はなしで親権は私と決まり、離婚後は私に金品などをいっさい要求しないことを約束させました。
調停は無茶な夫の主張を聞かされるばかりで本当にストレスでしたが、終わった後で私の本気度がわかり、何とか離婚にこぎつけられたのはよかったと思います。
使い道をまともに説明できないようなお金を私に払わせようとした夫の非常識さはいまも怒りが湧きますが、調停はそんな夫の目を覚まさせる効果があったのだなと実感しますね」(女性/40歳/接客業)
自分が一方的に作った借金について、婚姻関係にあるという理由で一緒に返済することを迫る人はいますが、本当に生活費ならそもそも配偶者に黙ってお金を借りること自体が問題であり、そこを飛ばして都合よく調停は進みません。
家庭に事情があるのならなおのこと、借金そのものを配偶者のせいにするのは無理があります。
その現実を冷静に見せられるのが調停であり、第三者の言葉で自分の「分の悪さ」に気がつくと、離婚したほうがいいと心が動くのですね。
調停が不成立になるということは自分の要求も通せなくなるのであって、結局は払わせたい側が苦しくなります。
どちらがおかしいのか、の現実を改めて知る場が離婚調停ともいえますね。