不倫をしていた、夫・利樹と新人看護師。主人公・直美は、ふたりの不倫写真を看護師長に見せることを決意した。
妻に不倫がバレたと知った利樹は土下座をして謝ってくるが、直美はもう彼を信じることができない。
そして「もう絶対しないから」と、離婚を拒否する利樹だったが…。
第1話:新人看護師とカーテンの裏で…妻が驚愕した入院中の夫のありえない行動
第2話:新人看護師と自宅で「診察ごっこ」をする夫。隣室に潜んだ妻が取った行動とは?
第3話
- 登場人物
- 大村直美:この物語の主人公
- 大村利樹:直美の夫
- 中塚悠里:夫の入院先の看護師
- ※登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
暴露

※写真はイメージです image by:Shutterstock
あの日、リハビリルームの前で中塚と利樹の不倫写真を見せられた看護師長はしばらく絶句していた。動画もあると話して見せると、開始3分ほどで「もう大丈夫です」と言われた。
「大村さん、すみません。私、ちょっとびっくりしてしまって」
看護師長が深く息を吸って、ゴクリと唾を飲み込んだ。いつも冷静な印象だが、さすがに動揺したのだろう。
「こちらこそすみません。家庭の問題なので私たちで解決するべきだったんでしょうけど、病室での不倫ですし、何よりリハビリで今後も通わなきゃいけないかなと思っているので…」
「いえ、教えてくださりありがとうございます。以前から中塚は患者との距離が近いと問題になっておりまして、私たちのほうでも指導していたんです」
「そうなんですか…これまでにも不倫を?」
看護師長は首を横に振った。
「私が確認している限りでは、患者さんに手を出したという情報は入ってきていません。まさか病室で堂々と不倫するなんて…。本当に、申し訳ございません」
その後看護師長は「本人と話し合います」と言い、何かあったら連絡するといってナースステーションに戻っていった。
看護師長から改めて謝罪の電話がきて中塚の自主退職を知ったのは、それから1週間後のことだった。
電話を受けたその日、仕事から帰ってきた利樹はひどく動揺しているように見えた。私と一切目を合わせようとせず、終始汗をかいている。
「どうしたの?なんか具合悪い?」
何も知らないふりをして利樹に話しかける。
きっと中塚から聞いたはずだ。「不倫がバレて病院を辞めた」と。それが妻からの密告だったと知っているのかどうかはわからないが、少なくとも危機感を抱いているだろう。
「ううん、なんでもないよ」
もしかしたら妻がすべて知っているかもしれないのに、それでもまだ嘘をつくのか。呆れた私は利樹に、満面の笑みで声をかけた。
「そういえば担当看護師だった中塚悠里さん。病院やめちゃったね。あなたのせいで」
利樹の顔からみるみるうちに血の気が引いていくのが分かる。震える声で「なんのこと?」と口にしたが、私から次々と渡される不倫の証拠を目の前に、もう何も言えなくなっていた。
病室で大胆にもキスをしている写真、LINEのトーク履歴、自宅リビングでの堂々とした情事映像。
「これ、利樹だよね」
「それは…あの…」
「言い訳してももう無駄じゃない?だってこの動画見て。ヤッてんじゃん、いまあなたが座ってるソファーで。私が寝室にいたにも関わらず」
「えっと…」
「離婚しましょう。慰謝料も請求させてもらうから。あなたと、あの女の両方にね」
ソファーに座る利樹を見下ろし、バッグから出した離婚届を突き付ける。
「あとは利樹の名前を書くだけだよ。私はもう書いたから」