会員制の婚活パーティーで若手実業家の賢一と知り合ったリサ。関係はトントンと進んでいき、ついにプロポーズされる。
暮らしが裕福になっていくにつれ、リサはセレブな生活に合わない友人たちをどんどん切り捨てていく。
そうして迎えた結婚式当日、リサは思いもよらない現実を目の当たりにするのだった。
第1話:男や友人を「顔や金」で選ぶ女。ハイクラス婚活で奪われ、手に入れたモノは…
第2話:
- 登場人物
- リサ:この物語の主人公
- 賢一:リサの彼氏
- 千晶:リサが唯一心を許している親友
賢一の交友関係

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リサが賢一と付き合い始めて3カ月経ったころ、賢一は突然プロポーズをしてきた。あまりの急展開に驚いたものの、リサは快くプロポーズに応じた。まさにスピード婚だった。
「このドレス好きだったなぁ…でもこっちも素敵」
さっき試着したばかりのたくさんのドレス写真を並べ、うっとりとため息を吐く。
「ねぇ、賢一さんはどれが好きだった?」
「どれも似合ってたけど、リサにはこの水色のドレスが合ってるんじゃないかな」
「ほんとう?私もこれが好きだったの!」
「写真も撮れるんだし、着たいものは全部着ようよ。リサの思い出に残る式にしよう」
「うん!ありがとう、賢一さん」
リサは幸せだった。幸せすぎて夢なんじゃないかと思っていた。そのたびに、左手の薬指にはめられたカルティエの指輪を眺める。
これをもらったのは間違いなく現実で、いま幸せなのも夢じゃないんだと。
SNSに指輪の写真を上げたとき、リサは結婚している友人たちの結婚指輪を片っ端からチェックした。そして自分よりも安い指輪をもらっている友人はまとめてブロックした。指輪の値段が釣り合わない夫婦なんて、この先仲良くするメリットはない。
「ドレスの写真、SNSに上げたの?」
「うん、これと、これと…あとこれも!いつもカットしてくれる美容師さんが、ぜひヘアメイク担当させてほしいって連絡までくれたよ」
「そっか、よかったね。リサは交友関係が広いね。招待する人もたくさんいるんじゃない?」
「そうだね…でも、賢一さんほどじゃないよ」
リサは賢一がさっきまでまとめていた招待状のリストを手に取る。
「ほら、私よりもうんと多いよ。この方はどんな人?」
「取引先の社長さんだよ。この人は投資を教えてくれた先生みたいな人で…」
賢一の説明を聞きながら、リサは結婚式を想像する。お金持ちばかりが集まる豪華な結婚式。数々の富豪たちに祝福される私は、まるでこの国のお姫様のようだ。
「ところで…賢一さんって、女性の友人が多いのね」
リサはリストを眺めながらふと、気になった。賢一の招待客の半数以上が女性だった。
「ああ、そうだね。仕事でよくお世話になってるからさ」
「そうなんだ…」
ダメよ、嫉妬なんて醜いわ。選んでもらったのは私でしょう。リサは心のなかに湧き上がる負の感情に、そっと蓋をした。