毒親の「からかい」が生んだ悲劇
さて、Fさんのケースは、「からかい」という名の言葉の暴力以外にも、ほかの兄弟との比較や差別、エコひいきによって自己否定的、他者不信的なセルフイメージが形成され、それがイジメへと発展し、そのイジメがさらに輪をかけてネガティブなセルフイメージを強化していったという、まさに「呪いにかかっているような状態」といえるかと思います。
一見すると、ただからかっているだけのように見える言葉の暴力には、以前、お話しした「お前のためによかれと思って」という善意の仮面を被ったものもあります。
「お前にこれこれこういう酷いことを言うのは、社会の厳しさを教えるためだ」「親だからこそ、あえて言ってるんだ」みたいな…。
一見、善意のようにも思えるので、こうしたことを言われても抵抗するのが難しい…。なので、一方的に言われっぱなしで傷つくばかり…。
そんなわけで、身体的な暴力が心理的に与える悪影響もさることながら、物的証拠が残らない言葉による暴力も、身体的な暴力と同等、場合によってはそれ以上の破壊的なパワーとなって心に深い傷を残すという悩ましいお話でした。
次回の『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』は2021年9月1日公開予定です。
【連載】『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』
【1】「生きづらさ」の根本にあるものは…?私の幸せを阻む「毒親」の呪縛
【2】私は「毒親」育ちだったのか?いま、生きづらさの原因を考える30の質問
【3】親の不仲も不機嫌も「自分が悪いせいだ」と思って育った、毒親育ちの人へ
【4】毒親に言われ続けた「あなたのため」。その支配から抜け出すための、はじめの一歩
【5】わけもなく不安になる。毒親育ちが無意識の苦しみを手放すためのワーク
【6】人が怖い、居場所がない、価値がないetc…毒親育ちの持つ悩ましい感覚
【7】私は何をやってもできない人だ。毒親育ちの悩ましい思考の手放しかた
【8】だから僕は、人が怖い。毒親育ちが「生きづらい」人生から抜け出すまでの道のり
【9】離婚したのは、僕のせい?「親の離婚」で傷ついた心の癒し方
【10】それって本当に子どものため?親の「責任」と「過干渉」のボーダーライン
【11】家庭内につくられたヒエラルキー。子どもを弱者に仕立て、支配する親たち
【12】対人関係がシンドイ。側から見ると順風満帆な彼の人生が“難あり”なわけ
【13】支配的な父親に従ったエリート役員の人生が、中年期に危機を迎えたわけ
【14】父親のDVは家族だけの秘密。なぜ毒親家庭は崩壊していくのか?
【15】愛情と苦痛はワンセット。大人になっても抜けない毒親育ちの思い込み
【16】いい親子関係を築けなかった子は、友人関係や恋愛でつまずきがちなのか?
【17】親に“いい子”の期待を押し付けられた子は、なぜ人生につまづいてしまうのか?
【事例1】鬱の母と、子に頼る父。毒親と共依存していた彼女が、親子の縁を断ち切るまで
【事例2】気づけば、3度目の離婚。彼女が「ダメンズ」ばかりを選んでしまったワケ
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